問題解決のHOW?は、顧客のコンテクストの理解で決まる

最終消費者にとってバリューある提案で、全員にメリットある企画を

これは同じチームの社員が取り組んだ企画ですが、2017年の7月から、長野県の御嶽山を登山する際に、登山届を提出した人にコーヒーを無料で提供するという企画も御岳ロープウェイを運営するアスモグループと組んで、始めています。

登山前にコーヒーでホッと一息ついてもらいたい。飲用シーンとしては想定しやすいものです。ただ、単なるサンプリングにはしたくない。そう考えて登山に関する問題を探っていくと、登山届を提出しない登山者が多いことが問題になっており、御嶽山でも同様の問題が起きていることがわかりました。ここに、私たちが入ることで皆にとってメリットのあるシナリオが描けるのではないか。仮説をもとにシナリオが描けると、関係者の協力の姿勢は高まり、アイデアは一気に具体化していきます。

もうひとつ具体例をお話したいと思います。今年の2月には浅草で、“メイドインジャパン”の「ネスカフェ」を試飲することができ、お土産品としても購入できるほか、春節をお祝いするサービスも提供する訪日中国人観光客向けの「ネスカフェ 和もてなし 無人カフェ」を期間限定でオープンしました。

インバウンドがブームとは言え、ただ“メイドインジャパン”の「ネスカフェ」を提供しているだけでは、数多ある他の日本製の製品の中に埋もれてしまいます。この企画では、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」を使った中国語での接客や製品案内に加え、中国で主流になりつつある電子決済「Alipay」のサービスを日本で拡充したいアントフィナンシャルジャパンと協力し、その場で「ネスカフェ」製品をお土産で買える仕組みをつくり提供しました。

実は発案から実行まで、ほぼ1カ月という超スピード企画でしたが、互いのメリットとお客様に提供するサービスが明確にシナリオとして描けたため、各社が実現に向けて全力で動くことができました。結果として、訪日客が増える中国の旧正月のシーズンに大きな反響を得ることができ、多くの中国人の皆様にサービスを体験いただくことができました。

次ページ 「コラボレーション成功の秘訣は、お互いのコンテクストの理解にあり」へ続く

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島川基(ネスレ日本 飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒービジネス部 部長)
島川基(ネスレ日本 飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒービジネス部 部長)

2002年ネスレ日本に入社。営業、営業企画の業務経験を経て、飲料事業本部にて「ネスカフェ」のマーケティング業務を担当。その後液体飲料ビジネス部 部長を務めた後、2016年より現職。「ネスカフェ レギュラーソリュブルコーヒー」、コーヒーマシンの「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」、コーヒーミックス等の基幹ビジネスを担当するとともに、「ネスカフェ」ブランド全体のマーケティング施策を立案実行している。

島川基(ネスレ日本 飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒービジネス部 部長)

2002年ネスレ日本に入社。営業、営業企画の業務経験を経て、飲料事業本部にて「ネスカフェ」のマーケティング業務を担当。その後液体飲料ビジネス部 部長を務めた後、2016年より現職。「ネスカフェ レギュラーソリュブルコーヒー」、コーヒーマシンの「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」、コーヒーミックス等の基幹ビジネスを担当するとともに、「ネスカフェ」ブランド全体のマーケティング施策を立案実行している。

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