時代を肌で感じ、新しい仮説を立られる人が強い!JAAA若手大賞トークセッション

ルールを疑い、新しい仮説を立てて実行できる人が強い

— “若手”から見て、今後コミュニケーションはどのように変わっていくと思いますか?

佐藤(雄):最近、人間の集中力は、金魚の集中力と同じくらい短くなったという話を聞きました。そう考えると、動画はあきらかに作り方が変わってきているように感じます。オチや結末を最後まで引っ張るというのも効かなくなってきていて、良くも悪くも情緒的な表現が減ってきている、というのがここ最近の変化だと感じています。

梅田:そうですね。我々は「オチは最後まで引っ張れ」というように教育を受けてきているけれど、もはやそれが必ずしも正しいわけではない。時代が変わっていくのを肌で感じられる人がこれからは強いと思います。オチを先に出してみたら意外とうまくいったとか、そうやってルールを疑う人。新しい仮説を立て実行できる人ですね。竹中さんの場合はどうですか?

竹中:時代の変化を肌で感じるというのは本当にそうで、例えば数年前は「SNSを使った施策をやりましょう」と提案することが多かったけれど、今はTwitterもInstagramもわざわざ能動的に見に行くほどではない、あるのが当たり前の場所になっているし、それもあってSNS疲れのようなものを感じている人も多い時代。だからどのような施策も、自分の有限な時間を使ってまで関わりたい、自分自身も楽しみたいと思う内容でないといけないと感じています。それを考えるときに、自分は日々の生活の中で何に時間を使いたいかという「自分の視点」が意外と役立つのかもしれません。

佐藤(麻):「(受け手としての)自分の視点」というのは私も最近よく考えます。写真を展示して人に見せるときや、連載で文章を書くとき、もちろん自分の視点では書くのですが、発信するときに以前よりも多角的な視点を持って伝えないと人に見続けてもらうことが難しくなったなと感じています。

昨今はネットで炎上してしまう広告や作品も時折ありますが、発信する側の狭い視点でこれが正しいのだと言い切りすぎることは、逆に本来伝えたいことが伝わりづらくなってしまっていることがあるような気がしています。そういった意味では個人個人の正しさが選択できるように、ひとつの物事に対しての理解も豊かに変化してきたのかもしれません。

梅田:コンテンツと人がメディア化しているというのを最近は特に感じます。今までテレビや紙媒体があったからこそコンテンツが成り立っていましたが、今はコンテンツ単体でシェアされる時代です。コンテンツがメディア化することで、マスや紙によらなくても軽々と世界に情報を届けることができます。大事なのは「普遍性」だと思っています。

例えるなら、昔バックパッカーをやっていたんですが、海外の安いホテルのロビーでみんなと話していたときのこと。ここでディープな話題の笑い話をしてもみんな全く理解できないんだけど、自分のオカンの笑い話をするとみんなにわかるんですよね(笑)。こういう普遍性は武器になると思います。いろんなやり方があると思いますが、ひとつはそういう普遍性を意識して高めて、コンテンツをメディアにして、20億人くらいに届くものを作れたら、それは最強のクリエイターだと思います。

次ページ 「「個の熱量」が、仕事を面白くしていく」へ続く

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