渡辺潤平さん×グランジ遠山さんが語る、「突き抜けたコピー」とは

コピーは正解がないのが良いところ

—中高生がコピーを考えることで、学べることがあると思いますか。

渡辺:すべての商品は必要があって生まれてきていると思うんですね、新聞にしかり、学生服にしかり。なんでそれが必要とされているかをつかめないとコピーは書けない。

つまりは、その商品の存在理由をグッとつかむことがコピーを書くうえで根底にある作業だと言える。だからこそ、コピーを書いていると、きちんと商品に向き合ってそれをつくっている人の気配だとか、それを使ったり着たり食べたりする人の日常を想像できる楽しさみたいなことを感じることができる。これは、コピーを書くことで学べるポイントなのかな、と思いますね。

遠山:例えば「新聞のコピーを考えましょう」となった時に、普通はみんなにとっての新聞って家にあるもの、とかテレビ欄やニュース欄があるといったことじゃないですか。

それじゃあ「それをみんなに商品としてどう知らせるか?」となれば考えますよね。それは機会がなければ考えないこと。自分にとって新聞って何だろうとか。それはすごく大事なことだと思います。

それを考えていくと、自分は新聞が好きなんだなとか、嫌いなんだとか、あるいはなんとも思っていなかったんだとか発見がある。それを思うと、世の中の色んなことは自分にとってどういうものなんだろうと。そうやってモノをつくったりするときの突破口になる気がします。
 

—応募を考えている中高生に向けてのメッセージをお願いします。

渡辺:コピーは正解がないのが良いところ。何を書いてもそれは正しくて。コピーという形で成立するんですね。逆に言えば、どれだけ考えたかということがそのままそのコピーの良さにつながっていく。正解にたどり着こうという感覚よりは、いかに他の人たちと違う考えにたどり着けるかを考えて、そこをどんどん突き詰めて考えてほしいと思います。

僕らがまだ若手の頃は「何百本コピーを書け」といったことを言われましたが、それはたくさん書くことが偉いわけではなくて、他の人が考えそうなことを全部吐き出させるため。だから、他の人の考えが及ばないところまで行き着くためにはやはり量を書きなさいと教わったんですが、そういうことだと思うんですね。

ちょっと考えただけで、思いつくものは大体誰もが考えること。その先に行くための脳みその使い方というか、そういうことに挑んでほしいなと思いますね。

遠山:いきなりポンと書ける天才もいれば、最初はどこから手をつければ良いか分からない人もいると思います。最初は「コレっぽいので良いかな?」となりがちかと思いますが、僕も最初にお笑いをやっていた頃そんな感じでした。人のネタを一杯見て、「誰々っぽいネタをつくってみよう」とか。

でも結局は、模倣では本物を超えることはできない。まっさらな状態で自分の中から出てくるものがおそらく本物なのだと思います。時間はかかるかもしれませんが、本当に自分の奥底から出てくるものを僕は見たいですね。最初はマネでいいとは思いますけど、でもぶっちぎれるのはそこを抜けてからだと思うんです。中高生の皆さんには自分を鍛えて、気持ちのこもったコピーを書いてほしいなと思います。


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