スターバックスでPCを開いている人は、本当にMacユーザーばかりなのか?
「スターバックスでPCを開いている人のほとんどがアップルのMacを使っている」という話は事実でしょうか。
確認のため、ある平日の朝のスターバックスで、PCのブランドを数えてみました。すると、PCを開いていた7人のうち、Macを使っていたのは2人のみでした。現実に反して、このようなイメージが広がっていることを、ブランドの用語では「Salience(傑出性)」と言います。ある特定の状況において一番頭に浮かぶブランドになっている状況を指します。
冒頭の質問に置き換えれば「あなたがカフェでよく見かけるパソコンのブランドは何ですか?」ということになるでしょう。
同様のことが最近、広告出稿量を非常に増やしている新規ブランドのハズキルーペにも言えます。たしかにハズキルーペのCMでは、多数の有名タレントを起用していますが、他のタレントを多数起用しているCM(たとえばソフトバンクやNTTドコモなど通信会社のCM)とも異なる目立ち方をしています。
実際、CM好感度調査で「あなたがテレビCMで思い浮かぶものは何ですか?」という質問においてハズキルーペは、前述のような通信会社をおさえて1位になりました。ハズキルーペは、タレントCMにありがちなCM内容やタレントのみが思い浮かぶ状態ではなく、ブランドとのユニークな結びつきができていると言えるでしょう。
前々回に2回にわたってアレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ氏とジェニー・ローマニアック氏の説を紹介しましたが、このような傑出性を作り出すためには、ブランドが容易に識別されるための独自の特長を持っている必要があります。ローマニアック氏によれば、それは「Distinctive Brand Asset(独自のブランド資産)」と呼ばれるものです。Macの場合は、それはアップルのリンゴのマークでしょう。
『How Brands Grow(邦題:ブランディングの科学、原著は2010年刊)』のなかでは、差別化よりもこの独自性が必要だと説かれていました。このことについて今回もう少し掘り下げてみたいと思います。