日本経済新聞社は第67回日経広告賞(2018年)の大賞をはじめ、受賞作品59点を発表した。大賞はクボタに決定、最優秀賞は内閣府と大日本除虫菊が選ばれた。
日経広告賞の審査対象は、広告主、広告会社から応募のあった1027点。クリエイティブの独創性や新規性などを基準に各審査委員会で選考された。
大賞のクボタはグローバルな企業姿勢が評価
大賞に選ばれたクボタは、農業や水処理、環境保全などに利用する製品をシリーズで紹介した。海外の自然景観を取り入れた写真が目を引く。小林保彦審査委員長は「活躍の場をグローバルに広げる企業姿勢と製品機能を美しく表現した」と講評した。
最優秀賞に選出された内閣府の作品は、地方活性化のための廃校利用を呼びかけるものだ。小林氏は、「もう一度、学校で仲間と楽しく過ごそうという提案は時空を超えて心に響く」とコメントした。
同じく最優秀賞の大日本除虫菊の作品は、殺虫剤の写真を切り抜いてスマートフォンで撮影してもらうもの。小林氏の講評では、「新聞の大きさと素材としての紙を生かしたアイデア」と評された。
時事的な話題を切り口に「読者に優しく問いかけるコピー」が受賞
各部門の受賞作品を見ると、時事的な話題を切り口にして、生活の楽しさを描いた表現が目立つ。そのなかで、社会に貢献する企業姿勢を「読者に優しく問いかけるコピー」(小林氏)で伝えている。
環境部門最優秀賞・環境大臣賞は住友林業が受賞。高さ350メートルの木造ビルを提案した。西尾チヅル審査委員長は「環境に配慮しながら、挑戦的に木材の可能性を探った」と評した。
IR・アニバーサリー部門の最優秀賞はセブン&アイ・ホールディングス。持続的な開発目標(SDGs)の考えに照らして事業活動をまとめた。石崎徹審査委員長は、「達成状況を利害関係者に示す先駆的な取り組み」とした。
日経マガジンスタイル部門の最優秀賞は、GINZA SIXリテールマネジメントで、ファッションなど全館の情報を盛り込んだ。高橋みどり審査委員長は、「身近に感じ、行ってみたくなる」と評価した。
昨年に続き設けられた「NIKKEI The STYLE特別賞」ではキリンビール、「日経・FTグローバル特別賞」ではキヤノンを選出した。
日経産業新聞広告賞大賞は東芝デバイス&ストレージが受賞。製品やサービスの機能を「動物の特徴を重ねて、分かりやすく説明した」と恩蔵直人審査委員長がコメントした。
日経MJ広告賞大賞を受賞したのは、ユウキ食品。オイスターソースを使った卵かけご飯をデザインした。「食品で一番大事なおいしさがストレートに伝わる」と三村優美子審査委員長が講評を述べた。
日経ヴェリタス広告賞大賞は日興アセットマネジメントで、上海の風景に英語のコピーを重ねた。疋田聰審査委員長は「アジアを中心とした事業展開がよく印象に残る」とコメントした。
日経電子版広告賞大賞には旭化成が選ばれた。真野英明審査委員長は、「自社の技術力を伝えるフォーラム採録を、デジタル媒体の特性を生かす表現で仕上げた。議論の内容を絵や図などでリアルタイムに視覚化するグラフィックレコーディングが新鮮」と講評した。
日経サイエンス広告賞大賞は東洋紡で、サカナの皮をむくとバナナの中身が見えるデザイン。大隈典子審査委員長は、「得意のバイオや化学の発展性がひと目でわかる表現」と述べた。
贈賞式は12月4日、グランドプリンスホテル新高輪で行われる予定だ。