たけしさんからの貴重なアドバイス
ひとり:たけしさんって照れくさいからそういうのやらないほうなんですけど、「あんちゃんは台本を机の上で書いている」と。そうじゃなくて、吹けない縦笛をもってきて、どうしていいかわからないこの縦笛をどうやったらネタにできるか、そういうところからつくるのもアリなんじゃないかと。それがとても印象深いんですよね。
澤本:それまさにそうですね。ちょっと話がズレちゃうんですけど、ひとりさんは昔はどういう風になりたかったんですか?
ひとり:気が付いたらお笑いでしたね。やっぱりたけしさんに対する憧れがすごかったので。僕は16歳からお笑いやってるんですけど、16歳のときなんて本当に恥ずかしいぐらいツービートでしたからね。ちょっと肩を動かしてたんですよ。憧れすぎて漫才するとそうなっちゃうという体になっていて。しかも世間を斬っていかないといけないから、16歳なのに「最近のあの政治家はバカですね~」って。
一同:(笑)
ひとり:選挙権もないくせに。「女子高生はなんですかね、短いスカート履いちゃって」と。全然ウケなかったですけど、2、3年はそれに気づかなくて。16歳がそんなことやってもウケないじゃないですか。ライブやってもいつも最下位というときに、ある日、全くネタができなくてライブ当日までできなかったんです。それで本番1時間ぐらい前に当時の相方に「中学校のときに変な先輩がいたからモノマネをする」と。「おれよぉ~」みたいなしゃべり方をするハチヤ先輩という変な奴がいたんです。その人のモノマネをするというネタをやったら、1位になって。
澤本:えー!
ひとり:それは当たり前の、基本中の基本なんですけど、自分が面白いと思うことをやらないといけないんだなと。
一同:(笑)
ひとり:それまではたけしさんだったらこういう漫才をやる、ということでつくっていたんだと思うんですよね。そこからかなり調子がよくなって。今でも若手を見ると、そういう子いますからね。これ絶対、君には無理だよと背伸びした感じのネタで。もっと等身大の、自分が面白いと思うことをやったほうがいいんじゃないという子は多いですね。でも、それだけ憧れてるから。
佐久間:極楽とんぼの加藤さんとやっていた深夜の番組とかね。
ひとり:「本能のハイキック!」という、昔でいう「オールナイトフジ」のような、女の子を集めてワーワーやる番組で、僕がよく“泣き芸”をやってたんですけど、それがハマって、そこから各番組でここでちょっと泣いてもらっていいですかって言われるようになって(笑)。
佐久間:でも、そんなにすぐに泣けないじゃないですか。だからメンソレータムを手にもってね。
ひとり:だって各現場で1日4、5回泣かないといけないから。涙なんて枯れちゃってるから、メンソレータム塗って無理やり泣いてたんです。
澤本:それは痛いですね。
ひとり:そうしたら目が真っ赤になって眼科に行ったら、「このままやってたら見えなくなっちゃうよ」って言われました。ドクターストップかかって。
中村:・・・すみません! Web野郎中村、大変遅刻しました。
澤本:今ね、遅刻が世の中で一番いけないという話を。
ひとり:時間泥棒だけは本当に許せないんですよ。
佐久間:僕がこの収録に前の仕事で13分遅れたんですけど、それは13分の遅刻じゃないと。かける待ってる人数分の遅刻だぞと怒られたところなんです。
中村:さっき聞いたところによると、ひとりさんの座右の銘は時間厳守と。大変申し訳ございません。
ひとり:いえ、人にはそれぞれありますからね。
佐久間:おかしい(笑)。
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構成・文:廣田喜昭