子育て経験は最高のプロジェクト管理シミュレーションである

前田氏の「子育てプロジェクト」に対する平氏のアドバイスは?

前田:実は我が家には今、小学校1年生の長女の「学校に行きたくない問題」がありまして。平さんの子どもさんは楽しく学校に行っていらっしゃいますか。

平:うちの長男も小学校1年生ですが、学校は楽しいと喜んで通っていますよ。

前田:それはうらやましい!僕はこの問題を解決するためにプロジェクトを組み立てたんです。
プロジェクトの最終ゴールは「長女が毎朝時間通りに登校できるようになる」。その勝利条件は「長女が笑顔で元気よく『行ってきます!』と家を出ること」。

予算規模は無制限です。プロジェクトのメンバーは、長女と、彼女の気持ちを切り替える担当の私、食事と髪のセットを担当する妻の3人です。「外敵」は、毎朝長女が学校に持っていく水筒を欲しがって、泣きながら強奪しに行く次女です。

睡眠をしっかりとるとか、翌日の着替えや時間割を寝る前に用意するとか、勝利条件を満たすための中間目標もいろいろ立てました。

睡眠をしっかりとるために、食事の時間やお風呂の時間などのタイムスケジュールも考えました。なかなか寝ようとしない長女がベッドに入りたくなるような楽しみとして、妻が子どもたちに絵本を読めるようにするために私が食器を洗うとか、いろいろ考えました。平さん、ぜひアドバイスをお願いします。

平:まず、自動化できるところは自動化した方がいいと思います。予算規模は無制限ということですから、食器洗いは食洗器さんにがんばってもらいましょう。そこで浮いた時間を子どもと一緒に過ごせばいいと思います。長女さんはひとりで寝ているのですか。

前田:妻と妹の3人で寝ています。

平:意外なことに、うちの長男は一人部屋を作ってあげたら一人で勝手に寝るようになったんですよ。しかも前は9時半に寝ていたのに、今は9時には寝ます。次男と一緒の部屋だった時は、次男の妨害で眠れなかったようです。それにもしかしたらこの年頃になるとひとりで落ち着ける場所や時間が必要なのかもしれませんね。もう赤ちゃんじゃありませんから。

前田さんのところと同じように、うちも次男がお兄ちゃんと同じものを欲しがるんです。だから水筒も長男と同じものを買いました。一人部屋も水筒もお金で解決です。

前田:一人部屋はまったく頭にありませんでした。ひとりでは眠れないだろうと、勝手に決めつけていたけど、それは固定概念ですね。自分でプ譜に「固定概念を無くせ」と書いているのに(笑)。

平:毎日学校が終わった後のスケジュールも本人がいろいろ決めています。「〇〇しなさい」とこっちが言ったことはなかなかしなくても、自分で決めたことはその通りにやるんです。翌日の準備も、うちは子ども部屋にアレクサを入れているので、アレクサに明日の天気を聞いたりしながら雨具の準備なども自分でします。

前田:すごいものを導入していますね。

平:アレクサは便利ですよ。本を読んでいて意味がわからない言葉が出てくると、アレクサに教えてもらっています。AIにできることはAIに任せればいい。親には親にしかできないことがいろいろあるんじゃないかなと思います。
それに子育てって、命に別条のないことはもっとずぼらでいいんじゃないかと思うんです。毎日お風呂を入れるのは大変だから二日に1度はシャワーですませようとか、ご飯もお惣菜を買ってきてさっさとすませるとか。完璧をめざして無理をするより、多少雑でもゆっくりする時間があった方が楽しいかなと。

前田:完璧でなくてもいいというのは、すごくいいアドバイスをいただきました。
ぼくは、自分がプ譜化したものを利害関係のない第三者に見てもらうことで、より良き手を打てるという勉強会をいろんな所でやっているのですが、まさにそれを今ここで体感しました。

次ページ 「プロジェクトは、がんばり8割 余力が2割」へ続く

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