リニューアルのため2019年1月に閉館をする名古屋テレビ塔。名古屋のシンボルでもあるテレビ塔に感謝の気持ちを込め、さらに地元のクリエイターらが垣根を超え、クリエイティブの力で名古屋の街を盛り上げたいと11月18日までキャッチフレーズの募集を行っている。
応募されたキャッチフレーズの中から厳正な審査を経て8本がポスター化され、完成したポスターは12月中旬から1月6日まで名古屋テレビ塔などで掲出される予定だ。
本記事では、その活動の一環として11月2日に開催された「“クリ街(=クリエイティブで街を盛り上げる)”名古屋やろまいサミット」の様子を紹介する。モデレーターに東北新社・中島信也さんをはじめ、今回審査員を務めるクリエイティブディレクター5名が登壇。名古屋の広告業界への熱い思いが語られたほか、特別ゲストにモデルの香里奈さんを招き、トークやキャッチフレーズ作成のためのヒントが詰まったブレインストーミングも行われた。
名古屋の広告業界ってどうですか?
中島:このところメキメキと面白いものを発信し始めているなと感じている名古屋の広告業界ですが、名古屋での広告づくりはどのようなところに面白さがありますか?
森:東京とは予算も、ひとりの裁量も違います。デザインもコピーもディレクションも、全部一通り見ますし、責任を取りながらできるので成長できますね。
成田:ライバルが近くにいるのも名古屋のモノづくりの活気になっていると思います。切磋琢磨している人が隣でお酒を飲んでいることも、モチベーションに繋がっているかも。
中島:名古屋はアーバン感もあるけれど、大きすぎずバランスが良いですよね。そんな名古屋の広告はこれからどうなっていくべきだと思いますか?これから名古屋でクリエイティブな仕事をしたいと考えている方に向けてメッセージもお願いします。
尾崎:“名古屋の広告”という狭い捉え方をしなくて良いのではと思います。私は「誰かの心を動かしたい」という思いで仕事をしているので、そこを追求したいです。広告はひとりではつくれないけれど、デジタルや新しいツールが広がってきたことで、その中で自分ができることはわずかになってきています。だからこそ、今日のように集まって、つるむ。新しい仲間や出会いを自分から捨てないことが今後は特に大切だと思います。
長谷川:広告はとても自由なので、地域のためにという物差しの中でできることはたくさんあると思っています。尾崎さんの“つるむ”と同じですが、とにかく人と会うこと。仕掛けや仕組みをつくって、世の中をどうざわつかせることができるかなと考えています。
森:地元の制作会社やフリーランスの方も含め、今実際に働いている人が少しずつ自分の仕事を良くしようと意識していけば、自然と良い方向へ変わっていくのではないかな。
加藤:こういう集まりに参加することで、名古屋の広告業界が見えてきます。良い仕事ができそうなときも、怠けそうなときも、他のクリエイターの皆さんだったらどうかと考えると、「もう一案出すぞ!」と意欲も湧いてきます。なので、皆さんも一度他のクリエイターの方に会いに行って、思い切って話しかけてみたり、横同士で繋がったりすると良いと思います。
尾崎:あと、私は皆さんに“何者か”になってほしいと思います。いろいろな仕事が自由にできるからこそ、“何か”がないと、クリエイションができない。マーケターでも営業でも、何でも良い。「自分はこういう人間なのだ」と、まず自覚した上で挑戦していく。そういう人同士が“つるむ”と、広がりが生まれるのではないかと思います。
中島:とりとめのないところでずっと続けるのではなく、一度何かの一人前になるということですね。一人前の何者かに。