世界の広告専門のジャーナリストたちが審査員を務めるフランス発の国際広告賞「Epica Awards」の2018年の審査結果が発表された。
選出されたグランプリは全部で7つ。FILM作品のグランプリは、今年のハロウィン向けに資生堂が制作したショートフィルム「The Party Bus 好きだなんて 言えない」が受賞した。仮装した若者たちが乗り込むパーティバスの中で生まれたラブストーリーを、LGBTをテーマに描いている。ストーリーと同時に、リップやアイメイクが顔の上で踊り出す、ストップモーションを駆使した演出も見どころだ。監督は、同社の「High School Girl? メーク女子高生のヒミツ」も手がけた柳沢翔監督。
今年は、社会課題の解決に寄与する「Grand Prix RESPONSIBILITY」およびメディアを問わない「Grand Prix ALTERNATIVE」の2つのカテゴリがグランプリに加わった。各グランプリの詳細は下記の通り(カッコ内はエントリー企業)。
Grand Prix RESPONSIBILITY
March For Our Lives「Price On Our Lives」(McCann NY)
今年2月フロリダ州の高校で起こった銃乱射事件をきっかけに、立ち上がった高校生たちがデモやイベントの中で実施したキャンペーン。各州で政治家が全米ライフル協会などから受けた献金の総額を、その州の高校生の人数で割り、「高校生1人の命の値段」を算出。それをオレンジ色(銃規制を象徴するカラー)の値札に記し、身につけてデモや集会に参加した。
Grand Prix ALTERNATIVE
Diesel「Go with the Fake」(Pubulicis Itary)
ディーゼルがニューヨークに、“公式の偽ブランド”「DEISEL」のポップアップショップをオープン。値段は偽ブランド並みだが、品質は公式そのもの。ファッションウィークで謎が明かされると一気に話題に火がつき、瞬く間に売り切れた。同社の「Go with the Flaw(不完全さを受け入れうよう)」キャンペーンの一環として実施。
Grand Prix DESIGN
Mayor’s Fund for Los Angeles「LA Original」(72andSunny)
LA市長が設立した基金のために設立されたロゴマーク。「L」と「A」の2つの文字の間に住民らが自由にイメージを加え、あらゆる業種でカスタマイズして使用することができる。
Grand Prix DIGITAL
The Times News/ UK & Ireland 「JFK Unsilenced」(Rothco | Accenture Interactive)
J・F・ケネディが銃弾に倒れた日に行われるはずだった幻のスピーチの音声をAIで再現。
Grand Prix PRINT
STABILO International GmbH「Highlight the Remarkable」(DDB Group Germany)
蛍光ペンで知られる文具メーカーによる広告キャンペーン。「優れたものを目立たせよ」というタグラインと共に、表舞台には出てこないが、才能を発揮し役割を果たした女性たちを写真の中でハイライトして見せている。
日本からの受賞作品
Direction & Cinematograph部門 グランプリ、ゴールド
Health & Beauty部門 ゴールド
資生堂「The Party Bus」(資生堂)
Best Use of Music部門ゴールド
パナソニック「THE PHILHARMONIC TURNTABLE ORCHESTRA」(電通)
Health & Beauty部門シルバー
アンファー「Washable Book」(マッキャンヘルス)
Restaurants, Bars & Cafés部門ブロンズ
日本マクドナルド「へーホンホヘホハイ」(ビーコンコミュニケーションズ/レオ・バーネットTokyo)
Media Innovation – Traditional Media部門ブロンズ
福島民報「おくる福島民報」(電通)
Media Innovation – Alternative Media部門ブロンズ
フレーベル館「0点ミュージアム」(電通)
今年のEpica Awardsは69カ国から4020のエントリーがあり、前年比20%増加した。特にドイツと中南米からの応募が増加した。特別賞として、Network of the YearにはMcCann Worldgroupが、Agency of the YearにはForsman & Bodenforsが、Production Company of the YearにはBlur Filmsが選ばれた。