エンドユーザーに会えば仕事は楽しくなる
前田:どのプロジェクトに参加するか働き手が選ぶようになると、魅力的なプロジェクトを起こすことができるかどうかで人の集まり方も違ってきますね。魅力的なプロジェクトを起こすことができる人の条件はありますか。
仲山:やっぱり、夢中になって仕事を遊んでいるような人じゃないですか。
他由で嫌々やっている人とは一緒に働きたいと思いません。
前田:仕事を楽しんで仕事で遊ぶというのは、簡単じゃない気がするなあ。
仲山:楽天市場で木彫り職人の店長さんがいました。その店長さんがお客さんから「とてもステキな作品をありがとうございます」というメールをもらって、「こんなことを言われたのは初めてだ」とすごく喜んでいました。それまでの仕事は、バイヤーさんを相手に価格・数量・納期をやりとりするだけで、作品を買ってくれた人の声を直接聞くことはなかったんです。
僕はこれが不健全の元だと思うんです。分業化され、お客さんの顔を知らずに仕事をしている人は世の中にたくさんいますよね。でも、全体把握の中で最も重要なのは、お客さんがどんな人で、自分が作った商品なりサービスをどんな顔をして使っているかということだと思うんです。そこが見えれば、木彫り職人の店長さんみたいにやりがいを感じて、仕事が楽しくなるはずです。
前田:それ、すごくよくわかります。普段お客さんと接することのないエンジニアやデザイナーに、ワークショップでお客さんにいろいろ教える役をしてもらっているのですが、その時の彼らはすごくイキイキしています。仕事を楽しむとか仕事で遊ぶって、そんな単純なことなんですかね?
仲山:僕はそう思っています。「仕事=作業×意味」という表現をするんですけど、もし、「意味=上司に叱られないようにするため」だったら何も楽しくありません。「意味=お客さんに喜んでもらうため」になると仕事が楽しくなるんじゃないですかね。
前田:そうか。これが仕事にどんどんのめりこませてくれる「たまごち(魂のごちそう)」なんですね。
仲山:はい。お客さんからの「ありがとう」をもらってうれしくなることを、「たまごち」と呼んでいます。
前田:でも、環境は待っていても変わりませんよね。仕事を遊べるようになるには自分で変えていかなければいけない。ハードルが高いなあ。
仲山:簡単ですよ、ちゃんとお客さんと会って対話すればいいだけですから。それで解決です。
前田:それで解決ですか?本当に簡単ですね!