もし自分が店の主人だったら、閉店で何を言うか?
数年前の夜。
外苑前を歩いていたら
いやに殺風景な中華料理屋を見つけました。
おばさん2人でやっている蛍光灯の街中華。
餃子を頼んでみると、どろ~っとした塊が出てきました。
怪談のような導入ですが、これがうまかった。
揚げ餃子に天一のスープがかかっているのを
イメージしてください。それです。
ふらっと入ってこれは当たりだ。と、
気を良くしておばさんに
「揚げてからスープかける餃子って珍しいですね。」
と言ったら
「揚げてないわよ!」
と怒られました。なんで?
さておき、食べログを使わずに
名店を引き当てると言いふらしたくなるもの。
それから色んな人を誘ってはドロドロを食しました。
余談ですが、人を誘って、どうだ!とやるときは
信頼貯金の運用が発生します。
これは仲間内で運用されている概念なのですが、
自分の信頼を担保にして、
オススメしたことのリターンとして
巨額の信頼を得ることができるのです。
このドロドロで荒稼ぎした信頼貯金で老後も…。
が、先日、すべてが微妙な店に連中を連れていき
信頼破産をしました。
ここで突然、仕事の話に飛びます。
日清食品のどん兵衛という商品の
デジタルキャンペーンを2017年4月まで
担当させていただいておりました。
その中でやった、「どんばれ屋」閉店広告についてです。
どんばれ屋というのは、渋谷駅のホームで
どん兵衛にお湯を入れて提供するお店です。
6年にわたって愛されたこの店がなくなると知り、
閉店広告を自主提案しました。
個人的に、閉店した店に貼られている貼り紙が好きでして、
というのもあれは、何年も店をやってきた人の情念がこもった
ヘビー級のボディコピーだからです。
近所のいなりずし屋が、
高齢を理由に閉まった時のメッセージはよかった。
「私は幸せものでした。」という結び。老後の自分も言いたい。
というか、これを仕事でやってみたい。
そこで、自分がどんばれ屋の主人だとしたら、
どういうことを言うのか?をイメージして
置き手紙を閉まった店舗に置かせていただきました。
「お湯入れるだけでいいから楽だったのに・・・・。ありがとうございました。」
合羽橋で買ってきたヤカンとどん兵衛と置き手紙。
かかった金額はヤカン代の5000円だけです。
これをどなたかが、通勤途中でしょうか。
写真を撮ってツイートしてくださったのが拡散し、
さまざまなニュースに取り上げられました。
1万倍以上のPR効果がありました。