※本記事は株式会社博報堂のコラムで掲載された記事を表示しています。
ソーシャルメディアが活発化したことで、“コミュニケーションファースト”の時代が到来したいま、企業のマーケティング活動でさえも、積極的に話のネタとして消費される時代になりました。
「モノよりコト、だから“コミュニケーションが大事”だよね」にとどまらず、もはや「モノそのものには興味がない、モノをネタに語りたいだけ、“コミュニケーションが第一”だ」という生活者が誕生し、増殖していると言い換えてもよいかもしれません。
事実、そもそも商品やサービスの購入にかかわる気が全くない、つまりターゲットではないにもかかわらず、「これはアリだ!ナシだ!」という議論に積極的に参加する生活者の存在が非常に目立つようになってきています。
インフルエンサーのように個として立っているわけではないが集団で声を上げ、場の空気を決定づけてしまう様は、時に“ガヤ”のようにも感じられます。彼らの存在は議論を活発化させるだけにとどまらず、実際のターゲットの意思決定にまで少なからぬ影響力を及ぼす役割を担っており、「実購入ターゲットじゃないから、コミュニケーションターゲットじゃないから」と無視することができなくなっているのです。
その結果、世の中に支持されるモノはニッチでも爆発的に売れる。世の中から反感を買うモノは、それを提供した企業の評判も落とす。いったん世の中からスルーされたモノは、「スルーされるくらいのモノ」とレッテルを貼られ、浮上のきっかけすら得られない。といったように、マーケティング活動の成否が結果に極端に表れる、かなりシビアな状況が生まれています。
このような時代を上手く泳ぎ切るためには、「企業の活動そのものが世の中へのコミュニケーション活動だ」ということをまず自覚し、その上で、「世の中はいま、どんなことを考えているのか」とソーシャルインサイトを強く意識する、PR発想(※)がマーケティングにも必要になってきます。
博報堂PR戦略局では、PR発想を「多様な社会的視点に基づき、『レピュテーションを構築する、また行動習慣を変えること』を目的に、メディアやインフルエンサー、また一般生活者など第三者を巻き込んだコミュニケーション構築を行う、戦略的発想」と定義しています。
「一つの商品サービスだけではなく、企業の全活動が世の中へのメッセージになっている」という視点をもつこと。「ターゲットに向けたコミュニケーション活動だけでなく、ターゲットを含む、世の中全体とコミュニケーションをしている」という意識でマーケティングプランを考えること。これら2つを統合するPR発想で考えていかなければ、マーケティング戦略も思うようにワークしません。ターゲットが判断材料にする情報のすべてをコントロールすることはできないのですから。
時節・トレンドの嘘 ~クリスマスはオワコン?!~
実際に、PR発想でソーシャルインサイトを掘っていくことで、通常のマーケティングデータからは見つけづらい、生活者の行動原理が見えてくることがあります。
例えば、典型的な時節や商戦期である「クリスマス」を見ていきましょう。
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