社内向けのブランディングなどを数多く手がける揚羽は11月7日、「成功企業の秘訣を明かす インナーブランディング完全解説セミナー」を開催した。当日は各企業の具体的な事例とともに組織活性化のための取り組みを紹介した。
第1部はAGC広報・IR部インターナルブランディングチームの高橋葵氏が登壇した。
2017年に110周年を迎え、2018年7月には旭硝子から社名を変更した同社。周年を機に、「自ら考え、動き、チャレンジする風土」を目指し社内コミュニケーションを強化した。中でも注力したのが、社内向け動画を配信するウェブテレビ局「CH110」だ。
社員らが夢を語る「シマパラさんのOneTeamな夢かなえたろか」、個人の生き方や仕事観に迫る「1600°C」など、この1年で30本以上の動画を制作した。ちなみに「シマパラさん」とは島村琢哉社長そっくりのカピバラのキャラクター。社員の夢を叶える企画として、創業以来初のグループイベントも開催した。
高橋氏は「一連の施策を通じて、社員が当事者として自らの夢を考え、挑戦に向けて一歩踏み出すきっかけをつくれたのでは」と話した。
他社に真似できない仕組みを
第2部では、揚羽インナーブランディング研究室室長の黒田天兵氏が登壇。企業規模を問わず多数の理念の策定・浸透プロジェクトに携わってきた立場から、組織変革のポイントを解説した。黒田氏は「働き方改革によって労働時間を短縮するだけでは、現場から余裕がなくなり主体的な創造性を欠いてしまう。社員の意欲を上げるためには、働きがいを感じる、給与・評価以外の施策が必要」と話した。
また、インナーブランディングを成功させるためには経営層や他部署の協力も不可欠。「経営と現場の間に立ち、両方の意見を聞きながら推し進めていくことがポイント。第三者的な視点で考えられる外部のリソースを活用するのも一手」と解説した。
第3部では、揚羽の黒田氏、AGCの高橋氏に加えて三菱重工グループ戦略推進室広報部ブランド事業推進グループの大川広誉氏も参加し、パネルディスカッションを実施した。
三菱重工はグローバル・グループ経営体制構築を見据え、2010年ごろから抜本的な組織・制度改革を行った。それに伴い社内コミュニケーションの機能も本社に集約。グループ報の創刊や社内イントラの統合などを通じて経営方針や理念の浸透を図り、「ALL三菱重工グループ体制」の構築を目指す。
三菱重工に限らず、M&Aなどによって異なるバックグラウンドを持った企業がひとつになり、コミュニケーションに壁ができてしまうケースは多い。「社内にポスターを貼って終わりではなく、動画や社内報など様々なツールを活用し、経営方針や理念を浸透させる活動を地道に続けることが重要」と大川氏も高橋氏も口をそろえる。
黒田氏は企業理念の浸透の重要性について、「インナーブランディングに終わりはなく、言葉づくりからイベントの実施や社内研修、表彰制度など、内容を深化させることによって他社に真似できない仕組みができる。その仕組みがやがて企業が競争優位になる資産となり、社外へのブランディングにもなる」と訴えた。
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