対象者にとって「どっちでもよいこと」だから、PRのプランニングは難しい
PRの企画は難しいものです。そのハードルは近年さらに高まっていると言ってよいでしょう。
PRの企画においては、さまざまな条件が課せられます。全ての企業活動の領域で制限があるのは当然ですが、PRはパブリックな側面を備えているという点からその条件に複雑性が増します。一方的な企業の主張を押し付けたり、単に商品を自社都合で一方的に押し売りしたり、というわけにはいきません。
情報の発信において社会的な文脈を外れることはできませんし、その文脈に則って行われる「マスメディアの情報取捨選択の判断」というハードルをクリアする必要があります。その条件を充たした上で、人々の目を引くキャッチーなアイデアを生み出さなければなりません。
一方で、情報の流通量は加速度的に増え、マスメディアだけでなくネットやSNSからの情報も影響力を増しています。
かつてのような、テレビCMなどマス広告だけに頼ったコミュニケーションシナリオでは消費者のレスポンスを期待することは難しくなり、PRは欠かせないものとなっています。ゆえに、PR業界の人だけでなく、コミュニケーションに関わる人なら誰でもPR企画の視座を持ち、そのような企画ができることをスキルとして求められます。
そのような現状ですから、新しいPR企画を生み出すことには日々みなさん苦労しているはずです。その上、PRの企画の難しさには、さらに大きな問題があります。PRする対象が多くの人にとって「どっちでもよいこと」である、ということです。
成熟した市場においては、上位にある企業やブランドはどれをとっても似たり寄ったり、どれを選択しても大して変わらないもののように感じられてしまいます。言わば「だいたい、良いんじゃないですか」時代です。そんな「だいたい、良いんじゃないですか」な状況では、新しい商品の発売や企業のアピールなど、企業の側から伝えたいことをストレートに訴えても、正直な話、ほとんどの人には「どっちでもよいこと」にしか感じてもらえません。
同時に、そのような情報は、ニュースソースとして発信するメディアサイドにおいても同様に「どっちでもよい」「他と大して変わらない」情報なのです。従って、メディアに「取りあげたい」という意欲を持たせるにも、単に情報提供するだけではなく、心理を刺激するためのポイントが必要になります。
しかしPRにおいては、その「どっちでもよいこと」を広く話題にして、最終的に「それはよい!」と思わせることがミッションです。そんな悩みはどうすれば解決できるのでしょうか?
ここでインサイトの出番になります。