「つくるを楽しむ」姿勢が生む多様性
ショッピングセンター「ルミネ」やキリンビールが展開するクラフトビール「グランドキリン」など大手企業の広告グラフィックデザインを手がけるツープラトングループ。
2004年にツープラトンを立ち上げ、その後は人員の拡大に伴ってチームを分社化する形で、2011年にジャイアント、2017年にスリーを設立した。現在は3社がそれぞれ独立してデザイン制作に携わっている。
広告グラフィックの制作で豊富な実績を持つ同グループだが、最近はロゴやパッケージ、ブランディングと担う領域が広がっている。ツープラトン代表取締役の林智徳さんは、「ここ数年でグループとして人数も増え、人によって挑戦してみたい仕事も多様化していると感じています。僕らは「つくるを楽しむ」を目標にしていて、所属するメンバーがやりたいことを自由に実現できる環境を目指しています。その結果モチベーションも上がるし、出てくるアウトプットもいいものになる。そのサポートをする中で、自然と仕事の幅が広くなっている側面があります」と話す。
例えば、女性のための本屋「HMV&BOOKS “HIBIYA COTTAGE(日比谷コテージ)”」の案件では、オープニング告知を手がけた縁からオリジナル商品の開発も担当した。「クリスマスに向けて何か一緒にできないかとお話をいただき、文庫本をプレゼントに変える提案をしました。具体的には、文庫本がぴったり入るサイズのトートバック『BUNKO TOTE』を新たにつくり、ギフト化したんです。クリスマスに文庫本を贈るにしても、そのまま渡すのではギフトとして弱い。そこにデザインでどう応えるかを考えました」。
ほかにもブランドコンサルティングを手がける広告会社と共に、第一屋製パンが新たに開発した米粉のパン「FAHAN」のアートワークなども手がけている。
「グルテンフリー・特定原材料7品目不使用の誰もが安心して食べられる米パンブランドをつくるので、デザインを任せたいとお話をいただきました。このブランド自体が『食物アレルギーがある人もない人も食卓を共にできる』という社会的な意義を持っているので、ロゴにはアレルギーに関する情報やネーミングに込められた思いなど商品の特徴を詰め込み、単体でFAHANの魅力が説明できるように設計しました。色々な制作物が新たに必要になった時、そこにロゴを1つ置いてあげるだけで伝えたい情報を少ない表現でシンプルに届けることが可能になります」とツープラトンのアートディレクター 松﨑賢さんは言う。
同社では1つひとつの相談に対し、デザインが果たす役割を考え、丁寧に応えてきたことで、最近は企画段階から参画する仕事も増えている。
広義なデザインで期待に応える集団に
一方ジャイアントでは、地域の施設におけるトータルデザインなどに関わっている。
「東日本大震災の後に、岩手県の大槌という土地で支援をしている建築家の友人からの相談がきっかけで始まった取り組みです」と同社の代表を務める山口範久さん。「新しく建てた保育園や商店街のロゴ、ツールなどを制作しました。それぞれの施設がデザイン面からも住民の方々に喜んでもらえるよう、見せ方を考えています。これまで手がけてきた広告の仕事とはまた違った面白さがあって、何度も現地に足を運んで、さまざまな人から話を聞いて進める。とてもやりがいのある仕事です」と話す。
従来の広告制作においても、新しく取り組むブランディングにおいても、「デザイナーとして人から求められ、それに応えて喜んでもらう」ことが原動力になっていると山口さんは言う。
同グループでは今後も広告に限らず、新しいデザインの仕事にも挑戦を続ける予定で、そのための環境を整えていくという。
「もう1、2チームつくることを考えています。企画や全体の進行に携わる機会も増えているので、プロデューサーなども加えた体制づくりが必要です。広告制作に軸足を置きながら、『いいものをつくりたい』という社外の相談、社内の熱量の両方に応えられる会社を目指していきます」(林さん)。
お問い合わせ
ツープラトングループ
TEL:03-5574-8451
URL:http://twopla.com/