エフティ資生堂 パーソナルケアマーケティング部 ヘア・ボディ室 エージーデオ24グループ 井村 亮哉氏
エフティ資生堂 パーソナルケアマーケティング部 市場開発グループ 月城 瞳氏
楽天データマーケティング 事業統括推進本部 富田 奨氏
数あるECサイトの中でも、楽天はデータの量と質が圧倒的
—デオドラントブランド「エージーデオ24」の広告出稿先としてECサイトである「楽天市場」を選んだ理由についてお聞かせください。
井村:理由は2つあります。ひとつは生活者が日用消費財(FMCG)をECサイトで購入する機会が増えてきていること。デオドラントはリピート購入が非常に多く、特にECにおける可能性が大きいと考えました。
またデオドラントという特性上、夏以外は店頭での販売スペースを確保しにくいのですが、ECサイトであれば季節関わらずメッセージを伝えることができます。
もうひとつは、「エージーデオ24」がニオイケアのブランドであるという特性上、店頭では買いづらいと思っているお客さまがいらっしゃること。そうした方々がECで気軽に購入できるスキームを構築したかったのです。
—数あるECサイトの中から販売先、そして出稿先として「楽天市場」をセレクトしたのはなぜでしょうか。
井村:「エージーデオ24」は日用品なので、まずはユーザー数が多いことが大前提でした。デオドラントを使う人は人口の約3割で、その上、使用される方の属性には共通点が多い。そうした特性の商品の売上を伸ばすには、しっかりとセグメントを行った上でターゲットにきちんと届く施策を組む必要があります。
「楽天市場」はECサイトの中でも大規模で、非常に緻密なデータ分析ができると伺っていました。それが楽天データマーケティングさんにご相談した経緯です。
実際お願いしてみて、売上を拡大するだけでなく、実際の購入者のペルソナを描いて下さったことに満足しています。想像していた以上に詳細にデータを分析していただけました。
—楽天データマーケティングさんでは、今回の施策において具体的にどのようなことをされたのでしょうか?
富田:今回の施策では、「デオドラントユーザー」をいかにデータで捉えるかという手法と、具体的な規模感、そして、そのターゲットに対しての広告・販促施策をご提案させていただきました。
メーカーさん側がお持ちではない「楽天の宝」と言えるのが、個々のユーザーのプロファイルと、それに紐づく購買データなどの消費行動分析データです。さらに、「楽天市場」には「お買い物モード」のお客さまが常に回遊されています。
その中でもデオドラントに関する情報を求めている潜在顧客などに最適なタイミングでバナー広告を見せることで、キャンペーンページで商品の特長をご理解いただいた上で売り場まで飛んでいただく。今回はそんなフレームで施策をご提案しました。
ビッグデータから、ライフスタイルまで見えてくる
—施策の結果を受けて、楽天データマーケティングさんならではの成果を感じた部分はありましたか?
井村:はい。たとえば今年「エージーデオ24 ロールオン・プレミアムデオドラントスプレー」という4ケタの価格の商品を発売しました。
デオドラントスプレーの相場価格は500~600円ほど。でも、これまでのデータからニオイの悩みの深いお客さまなら買っていただけることを確認していました。想定を「20~40代の、エージーデオ24のデオドラントを使っている人の2割程度」と考えていたのですが、この仮説を実際の購買データから検証することを課題と捉えていました。
特に私たちが楽天データマーケティングさんに期待したのが「誰が買ったのか?」というデータでした。男女構成比や年代構成比はもちろん、他のカテゴリーで何をよく買っているかなど、ライフスタイルまで見えてくるデータを分析できたのは、ありがたかったですね。
—企業が想定しているお客さまと実際の購買層がズレているという話はよく聞きます。想定していたこととデータで、違っていた部分はありましたか?
井村:プレミアムデオドラントスプレーは、高い効果を求める方が購入してくださっているのかなと思っていたのですが、実は新しもの好きの方や、値段に関わらずとにかくいいものを使ってみたい、という方も多く購入されていることが分かりました。
機能に加え価値観に響いてくれた方々が買ってくれたことをしっかりとデータで見せていただいたことで、お客さま像がより細かくシャープに見えるようになりました。
例えば、ニオイに感度の高い人は、健康意識が高い、そしてエビデンスを理解して納得した上で購入したい、などというデータを出していただいたことで、ブランド自体の拡大に向けたデータ戦略指針につながりました。売上を達成できただけでなく、お客さま像を理解できたことは大きな成果です。
富田:今回は思いのほか、男性の購入者が多いことも分かりましたが、おそらく当初の設計とは異なる結果だったと思います。社内ではどのように受け止められましたか?
井村:男性購入者では効き目がしっかり担保できるエビデンスやLP(ランディングページ)を見て買った方が多いことが分かりました。今後、男性への展開も検討中です。
ECサイトに留まらない、実店舗への波及効果は検証できるか?
—「楽天市場」の中における販売効果だけでなく、広告を出稿したことでLPで商品説明を見て、店頭で購入するという波及効果もあったのではないかと推察します。ECとリアルな店舗との連動という点はいかがですか?
月城:店頭での販売では、どのようなお客さまが買ってくださっていて、どのようなお客さまと接点をとれていないかを把握することができません。ECではもちろん売上を伸ばしたいという思いもありますが、データをもとに購入者をより深く理解した上で、全国の実店舗での施策にもつなげたいと思っています。
富田:今回は施策の接触者に対して、事後に「楽天インサイト」を使ってアスキング調査も行いました。「楽天市場」での施策に触れた人が実際にどこで買ったかを調べると、ECサイトよりもドラッグストアやスーパーで「この商品、楽天市場にあったな」と購入していただいている方が多いことが分かりました。
将来的には、リアル店舗に広がっている「楽天ペイ」や「楽天ポイントカード」などのネットワークも活用して、オンライン上の施策がリアルでの購買にどれほど効果的な接点となっているか、パスをつなげて見ることができるようにしたいと考えています。
チャネル間のデータ連動により、一気通貫したマーケティング施策を目指す
—リアルな店舗からECまで一気通貫した施策。メーカーさんとしてはまさに待ち望んでいたことなのではないでしょうか。
井村:私たちにとってお客さまとリアル店舗の接点は非常に重要なので、売れるものやお客さまにとって必要なものについて、どこまで営業がデータをもってお取引先に話せるかが肝になります。そこが、社内でも我々に期待されている部分だと思います。
今やお客さまにとって欠かせない存在になったECサイトを販売チャネルとして活用しながら「こういう理由だから『エージーデオ24』を店頭に展開する価値があることをご提案する。
相手によっても、求められているものは違います。そうした商談時に、ブランドの強さを伝えるため、楽天データマーケティングさんのデータやレポートを活用させていただき店舗展開につなげたいと考えています。
富田:今までは、店頭の棚を確保する際にはテレビCMの投下量が、小売企業に対する営業トークの材料になっていたと思います。でも、将来的にはECサイトでのユーザーさんの買い方や購入者層の情報が、リアルの流通さんにも受け入れてもらえるようになるかもしれません。
井村:そうですね。今までは店頭で売れた後、ECで強化するという流れがメインでしたが、これからは反対のサイクルになるケースが増えるのではと感じています。
「楽天市場」でのキャンペーン施策で得たポイントの一つとして、男性の売上拡大の可能性を購買データを基に話せるようになったことはすごく新しいですね。ECでの買われ方を店頭でも活かす。それが我々の新しい提案のひとつになったと思います。
月城:「楽天市場」のお客さまにご購入いただいたことで大きかったのは、レビューのコメントが大幅に増えたことですね。それによって「これだけ反響があった商品なんですよ」とリアル店舗の商談で活用することも。そうした事例は、今後もっと増えてくると思います。
—将来の構想についてお聞かせください。
井村:楽天データマーケティングさんには、我々が気づいていない課題も提起いただきたいです。市場調査だと、タイミングが影響したり、こちらが得たいことが絞られているため、気づいていないことがあります。これまでマーケティング戦略の中でなかなか補完しきれなかった「調査」の部分をさらにサポートいただけることを期待しています。デオドラントにはまだまだECにおけるチャンスがあります。ニオイケアをきっかけに、今後は自分の本音を語れる場所としてのECのポテンシャルに大いに期待したいと思っています。
月城:たとえば、「エージーデオ24」をECサイトで見てから、ドラッグストアでふたたび見かけたことがきっかけで購入に至る、といったお客さまはたくさんいらっしゃると思います。そうした購入の背景をより深堀りしてデータで可視化できるようになれば、ECにおけるデータの重要性はさらに高まっていくと思います。私たちは今後、そこに期待したいと思います。
富田:今まで実現不可能だった、購買データを起点に広告出稿から購買に至るまでの「人」ベースでのパスの可視化も可能ですし、その分析を基にマーケティング活動を最適化するお手伝いもしていきたいと考えています。将来的には、広告活動の前段階、モノづくりにも生きるような、データを活用したご提案も可能だと思います。
楽天データマーケティングは各メーカーにとって、競合企業も含めた膨大なデータを分析できるので「ジャンル内におけるホワイトスペース」をメーカーさんと見つけ出すことも可能です。
データを基にプロダクトを開発して、広告・販促を行う。その結果、どのような人が買ってくれたのかを見つけてPDCAを回す。そうした一連のデータ活用の流れが本当の意味での企業活動の最適化につながると思っています。
お問い合わせ
■楽天データマーケティング株式会社
URL:https://rakuten-data-marketing.co.jp/
Email:rdm-admin@mail.rakuten-data-marketing.co.jp
TEL:03-4405-4096
■Rakuten Marketing Platform(楽天株式会社が提供するマーケティングソリューション)
URL:https://adsales.rakuten.co.jp/
Email:ad-C-otoiawase@mail.rakuten.com
TEL:東京 050-5817-1184 /大阪 050-5817-8914