「クリエイティブ人材」の育成を掲げ、デジタル上の情報発信や芸術表現など実践的な学びに取り組む東京表現高等学院 MIICAは、今年初めてBOVAに挑戦する。
その作品の制作にあたって、AUTOWAY「雪道コワイ」、Paymo「Table Trick」など話題になったWebムービーを数多く手がけるBBDO J WESTの眞鍋海里さんによる出張授業が行われた。広告の基本的な考え方や企画の発想法について講義を行い、実際の課題から企画を考えるグループワークに取り組んだ。
Webムービーを見てもらうための5つのポイント
第一部「映像制作の基本と発想の型を学ぼう」(講師:BBDO J WEST 眞鍋海里)
まず、第一部では学生に向けて普段学んでいる表現と広告、オンライン動画における表現の違いについて解説された。
広告を制作するクリエイターは、企業の持つ課題を解決するために表現を活用しています。なので、単純に面白い、きれいな、驚く動画をつくるのではなく、ソリューションになるアイデアを考えています。
課題を解決するためのポイントは、以下の2つです。
○WHAT TO SAY(広告を出す企業、ブランドが何を伝えたいのか)
○HOW TO SAY(視聴者が見たくなるように、どのような表現にするのか)
ただ、みんなが見てくれる前提のテレビCMとは違い、オンライン動画では「見てもらえない」ことが前提になります。当然YouTubeにアップするだけでは広がらないので、シェアや拡散してもらう仕掛けが必要になってきます。そこで今日はオンライン動画を見てもらう、シェアしてもらうための「WOWを生み出す5つのポイント」についてお話しします。
WOWを生み出す5つのポイント
(1)STORY TELLING(ストーリーテリング)
“伝えたいこと(WHAT TO SAY)を感情移入できる物語として最大化し表現する”
例-John Lewis「#MontyThePenguin」
イギリスの百貨店チェーンのジョン・ルイスが2014年のクリスマスに公開したWebムービー。「あの人が夢に思い描いているクリスマスプレゼントを贈ろう」というメッセージを、少年とペンギン(のぬいぐるみ)の物語で表現している。
(2)FOR REAL?(マジで?)
“「なんだこれは?」「本当に?」と真相を知りたくなる表現で、メッセージを届ける”
例-AnyPay「paymo Table Trick」
割り勘アプリ「paymo」の認知とサービス理解を広げるために、ワンカットでテーブルクロス引きを成功させていく演出で「本当にやったの?」という仕掛けを用意した。
(3)REALIZATION(気づき)
“「確かに!」という強烈な気づきと共に、メッセージを伝える”
例-IKEA「lamp 2」
家具メーカーIKEAが公開したWebムービー。スタンド照明に感情移入させる演出で物語が進むが、最後に男性が現れて「モノは感情を持たないから感情移入せず、新しい商品を買おう」と語りかけるという内容の第1弾が2002年に話題になった。
(4)EXPERIENCE(体験)
“「映像的なトリックやミステリーを巧みに使い、伝えたいことを実際に体感させる。”
例-「Evan」
Evanという少年の淡い恋物語と思いきや誰も予想していなかった衝撃の結末が描かれる、とある非営利団体が公開した動画。
(5)AUGMENTED(拡張)
“デバイスの特徴を捉えて、これまでにない視聴方法で体験を広げる”
例-超特急「gr8est journey」
男性アイドルグループ「超特急」のMVで、メンバー1人ひとりにフォーカスした映像を制作。それぞれのメンバーの映像をスマホで流して横に並べると、連結して1つのMVが完成する設計になっている。
以上の5点がオンライン上で動画を見て、広げてもらうためのポイントになります。