CM後、売上のベースとなる取扱店舗が急増
テレビCMを放映してから、ハズキルーペを扱いたいという流通は急増した。Hazuki CompanyではCM放映と共に、無料の専用什器の提供や商品サンプル200万本の貸し出しを行い、営業展開を強化している。
「2015年8月から、BS、CS、地方局でテレビCMを打ち始め、多い月は媒体費で3億5,000万円かけました。当初のハズキルーペ取扱店舗数は、1万6000店舗でしたがCMを始めてから、毎月約500店舗ずつ増えました。2018年2月に平昌五輪の中継番組に約5億円提供したところ、知名度が上がり月3,000店舗、新規扱いが増えたんです。9月後半からは武井咲編を放映し、10月は新規で約3,600店舗増え、11月時点で4万7,000店になりました。実際に試して買いたいという方が多いので、ホームページでどこの店舗で購入できるか検索できるようにしています。郵便局で2万4,000店舗、国内のセブン-イレブンで2万店ですから、販売網の大きさが分かると思います」。
CM効果で「ハズキルーペください」と指名買いする来店客も多く、売り場拡大につながっている。
「家電量販店では、池袋や渋谷などの都心店舗でも置いてもらっています。一等地で販売する場を借りるとなればかなりの費用になりますが、うちは広告媒体費に年間100億円をかけています。広告は、売上のベースとなる売り場を広げるために欠かせないものなんです。多いと一店舗で月に200~300本売れます。ヤマダ電機さんとケーズデンキさんは毎月約1万~1万5,000本、眼鏡市場さんは月に2万本売ってくれています」。
インターネット広告も年間で億単位の費用をかけているが、費用対効果が良いのはテレビCMだった。「ハズキルーペのメインターゲット層が50、60代。97%がリアル店舗で購入なので、うちの場合はテレビが向いています。インターネット広告はズバリのターゲットを追いかけて広告の表示はしているけれど、レスポンスを見ると、テレビのほうがいいんです」。
ハズキルーペの快進撃を受け、他社からのコラボCMも登場した。ソフトバンク「動画SNS放題」のCMでは、菊川怜さんがハズキルーペのCMと同じ衣装・髪型で出演し、ハズキルーペではおなじみの椅子の上の商品をお尻で踏むシーンや、「大好き」と手でハートマークをつくる仕草も出てきた。
「コラボCMをやりませんか?と言われて、ど素人の僕がつくったCMにコラボしてくれるんですか、と快諾しました。放映後、企業ホームページのアクセス数が月40万件を超え、YouTubeでもないのに数字を伸ばしています」。企業買収家としてのビジネス感覚で広告に新たな風を吹きこむ松村会長。社内には出稿後の反響を確認する独自のシステムを整備し、次なるシリーズCMでも、さらなる反響の獲得に挑む。
松村 謙三氏
プリヴェ企業再生グループ
代表取締役会長 最高経営責任者 兼 Hazuki Company 代表取締役会長
1958年12月生まれ、59歳。成蹊大法学部卒業後、外資系証券を経てプリヴェチューリッヒ企業再生グループ(現プリヴェ企業再生グループ)設立、これまでに52社の企業買収を手がける。経済同友会 委員。大阪大学 大学院 法学研究科 客員教授と、大阪大学 知的基盤総合センター 客員教授を務める。