富士フイルム一色昭典氏が語る:スマホ時代に考えるメディアと広告主の理想の関係

フィルムの現像からデジタルの時代に至るまで、日本の写真文化を築き、支えてきた富士フイルム。新たに展開するプリントサービス「WALL DECOR(ウォールデコ)」の販売でNEW STANDARDをパートナーに選んだ理由とは?

態度変容させるコンテンツには“ストーリー”がある

左から、NEW STANDARD 代表取締役 久志尚太郎氏、富士フイルム e戦略推進室 マネージャー 一色昭典氏

一色:最近さまざまな場面でコンテンツマーケティングについて耳にしますが、私は2つの意味合いがあると思っています。ひとつは、私たちの商品やサービスに関心を持ってホームページやECサイトに訪れたお客さまに対して、役立つ情報を届けること。もうひとつは、自社の商品やサービスとは異なる文脈の中で、新たなお客さまと関係を築き、自社のECサイトなどに連れてくることです。

コトラーの『マーケティング4.0』では、友人(Friends)、家族(Families)、Facebookのファン(Facebook fans)、フォロワー(Twitter Followers)の「Fファクター」が顧客の態度変容をもたらすと書かれています。企業のメッセージがなかなか届かない時代、熱狂的なファンを持つメディアや自社のフォロワーの言葉で届けることがますます重要になる。

その視点でNEW STANDARDさんのコンテンツを見ると、一見尖っているように見えて、深い洞察力でユーザーの心理を捉えながら“あなたに向けた”ストーリーテーリングを行っているように見えます。こうした記事はどのように生まれるのでしょう?

久志:インターネットのコンテンツはデータ化できる分、目の前の数字だけを追いがちになってしまう。でも、本来メディア側が力を入れるべきは、クライアントも気づいていない商品やサービスの価値をクリエイティブの力を使って言語化し、コンテンツを通してユーザーに“提案”することだと思います。

NEW STANDARDでは、2014年にローンチ以来、一貫して「目障りになる広告」を入れないようにしてきました。ユーザーのためにならない広告をつくると、結果、広告主がお金を出して嫌われるだけ。それが今のアドフラウド(広告詐欺)などの問題につながっていると思います。

私たちが行っているのは、ユーザー自身もなぜそうなのか分からない気持ちや、分かっているんだけど言えないという気持ちを見つけて、そこに“ストーリー”を提供することです。

「飾る写真」から「贈りもの」へインサイトの発見が新製品に

一色:今回ご相談した「WALL DECOR(ウォールデコ)」は、お気に入りの写真をパネル加工(額装)し、部屋に飾れるようにと生まれた新しいサービス。「欧米のように、写真を部屋に飾る文化をつくりたい」というのが、我々の昔から変わらない願いではあるのですが、それを根付かせるのが難しいことも、これまでの取り組みで十分分かっていた。だからこそ、NEW STANDARDさんらしい切り口でこのサービスを語るとどうなるか、関心がありました。

久志:写真を壁に飾る以外に「WALL DECOR」のサービスを「贈り物」という文脈で語ることで、色紙の代わりに写真を贈るという提案を記事化しました。結果、メディアの中でも記事は反応が良く、閲覧数も多かった。最後まで読んで富士フイルムさんのサイトまで訪問してくれたユーザーが多かったと聞いています。

一色:NEW STANDARDさんの記事は、ストーリーによって没入感が醸成されていたのか、他の記事とは読後感が違いました。実際、ECサイトまでたどり着いたユーザーの数や最終的なコンバージョンが他の記事とは桁違いの結果に。

今回の取り組みから「贈る」というストーリーへの反響が見えたので、贈り物に相応しいサイズの商品を発売することになりました。「WALL DECOR」は新製品のため、まずは認知を……と思っていたのが、ユーザーの新しいニーズが見えて新たな商品化にもつながった。良いサイクルが回ったなと思います。

今回の施策のポイント

 

ユーザーを動かす広告制作「共創」できる関係構築が重要

久志:ユーザーを動かすほどの「本当に良い広告」をつくろうと思うと、クライアントの協力なしにはつくれない。NEW STANDARDユーザーへの“理解”に、富士フイルムさんの持っている“知見”を掛け合わせたからこそ、今回の結果が生まれたと思います。

一色:商品理解をしようとする姿勢は素晴らしいものがありました。

久志:クライアントのためのクリエイティブになっている広告が非常に多い中、ユーザーのために、クライアントの商品価値をいかに最大化するかという姿勢で広告をつくるには、メディア側とクライアント側が一緒に何かをつくろうとする姿勢が不可欠だと思うんです。お互いへの理解、信頼関係という言葉とも違う……。

一色:シンパシーではないでしょうか。共感。

久志:そうだ、まさにそうです。

一色:メディア側がクライアント側に慮って提案することが多いのは、クライアント側にも責任がある。「数字を取るためにこういうクリエイティブをつくってください」ではユーザーを真に動かすことはできません。NEW STANDARDさんは、多様化するユーザーとの接着剤のような役割を担うメディアだと思います。今後もさまざまな切り口でのお取り組みができると思うので、期待しています。

聞き手

NEW STANDARD
代表取締役
久志尚太郎氏

1984年生まれ。中学卒業後、単身渡米。16歳の時に飛び級で高校を卒業後、起業。帰国後は19歳でDELLに入社、20歳で法人営業部のトップセールスマンに。21歳から23歳までの2年間は同社を退職し、世界25ヵ国をまわる。復職後は25歳でサービスセールス部門のマネージャーに就任。同社退職後、宮崎県でソーシャルビジネスに従事。2013年より東京に拠点を移し、2014年2月にTABI LABOを創業。


お問い合わせ
NEW STANDARD株式会社
東京都世田谷区池尻2丁目31-24 信田ビル 2F:BPM | 3・4F:Office
TEL:03-6427-0729
E-mail:sales@new-standard.co.jp
URL:https://new-standard.co.jp/

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