「薬みたいなスポーツをつくりたい」から生まれた「トントンボイス相撲」
権八:面白い。どういう風に運営しているんですか。澤田さんは理事長、協会会長で何をしてるんですか?
澤田:世界ゆるスポーツ協会は一般社団法人という法人格で活動していて、広告代理店とは切り離して公正公平に事業を行っています。専属スタッフはほとんどいなくて、皆二足目のわらじとして関わっていて、コアメンバーが10人ぐらいいます。スポーツをつくるスポーツクリエイターがその周辺に200人ぐらいいます。
権八:ゆるスポーツは何種類ぐらいあるんですか?
澤田:70競技ぐらいですね。
中村:スポーツがスポーツとして定義される、認められるのって何かあるんですか? 国が規定するのか、よくわからないですけど。
澤田:それが難しくて、少し前にギネス社の方と会って、「有史以来こんなに人類がスポーツをつくったことないから、もしかしたらギネスレコードかも」と。ただ今みたいにスポーツの説明を1個1個していったら、ベビーバスケットボールはスポーツなのかと、イギリス人たちが首をかしげはじめて。1回持ち帰りますと。
権八:面白いな。でも今やeスポーツがスポーツで、ナイキがeスポーツの選手と契約したりしたでしょ。
中村:え、マジすか。だって、ストリートファイターがうまいだけとかでしょ?
権八:うまいだけというかうまいんだよ(笑)。不思議な時代に入ってますけどね。澤田さんがつくられているゆるスポーツで競技人口が多いのはどれなんですか?
澤田:「トントンボイス相撲」というのがあるんですけど。
中村:あぁ! それオモチャで売ってません? しかも結構ブレイクしてましたよ。
澤田:そうなんですよ。これは「トントントン…」と声で言うと土俵が揺れるというデジタル相撲みたいなことなんですけど、それが(2018年)7月から全国で発売しているので、そういう意味では競技人口が一番多いと思います。
権八:ということは声が大きい人が強いみたいなこと?
澤田:声の大きさはあまり関係ないですね。もともとは高齢の方で、全身動かないけどおしゃべり好きという女性の方が結構いるので、そういう方でも楽しめるスポーツはないかとチームで考えたものです。しかも発声するとリハビリの観点でもよくて、心肺機能の強化に繋がったりして。スポーツをしていたらリハビリになってました、という構造で、「薬みたいなスポーツをつくろう」ということでつくりました。
権八:偉い。薬みたいなスポーツって初めて聞きました。
中村:ここまで実行に移した人は澤田さん以外にいないと思うんですけど、同じようなインサイトを考えていた人は結構いますよね。たとえば、よくこの番組で話題に出てくるCDの佐々木宏さんも、「なんでオリンピックの競技で日本人が勝てないんだ」と言っていて。「短距離走はできるだけ速く走るという競技だと絶対に勝てないから、15秒ちょうどで、ピッタリになるようにテープを切るという競技に変えちまえ」と。似たところを感じましたね。
権八:なるほど。思いつきで好き勝手言うからね。それで言ったことを忘れて、「誰がこんなこと言ったんだ。できるわけないじゃないか」って(笑)。
中村:澤田さんがゆるスポーツ協会を最初につくろう、やってみようというきっかけは何だったんですか?