広告業界の人と飲むとストレスとで口内炎が増える?
澤田: 2020年のオリパラ招致が決まった直後に思ったんです。すごいお祭りがやってくるのに、僕は運動が苦手だから何となくそこに参加できないんだろうなと。でも、それってもったいないと思ったので、一つのきっかけですね。
澤本:招致だと2013年ぐらいでしょ。
澤田:ゆるスポーツは2015年の4月からやってるので、3年半ぐらいですね。
権八:最近だ。もっとやってる印象で、意外と根付いているイメージがあるな。
澤田:そうですね。Tくんに勝ちたいという怨念がすごくてですね(笑)。一刻も早く社会を変えたいので、生き急いで頑張ってるんです。見返したいんですよね。
中村:わかる。わかるんだけど、Tくんが「澤田、俺が間違ってたよ」ということはないという悲しい事実はありますけどね(笑)。
権八:でも、実際モテそうだしさ、黒い皮のジャケットを着てるわけですよ。これ似合うのはシティハンターの冴羽獠か、澤本さんか。
中村:または、タグボートの多田さんか、澤田さん。
澤田:コンプレックスを持った人、マイノリティと言われる人は社会にいっぱいいるじゃないですか。しかもマイノリティと言っても、LGBT、身体障害者のようなマイノリティの中の主役レベルじゃなくて、マイノリティの中にもマイノリティがいっぱいいるんですよね。
たとえば僕がスポーツ苦手というのは、スポーツマイノリティ、スポーツ弱者と自分を規定したんです。それはさっき言った日本人の49%がスポーツマイノリティで、顕在化されてないマイノリティを顕在化して、そこにビジネスをパコっとハメるのが好きなんですね。自分が弱いからですね。
中村:もう1つの肩書である福祉クリエイターとしては、視覚障害者アテンドロボット、義足女性のファッションショーをやられているんですが、これもどんな経緯で何をやられたのか教えてもらっていいですか。
澤田:僕は広告業界の人がちょっと苦手なんですよ(笑)。みなさん自分に自信があるじゃないですか。飲んでると自慢大会になって、ストレスで辛くなるんです。口内炎が増えるんですよ。
中村:あー、わかる。
権八:広告業界の人といると口内炎が増える(笑)。
澤田:そうすると生きづらさを抱えている人と飲むことが多くなって、障害のある人と飲むことが多いんです。そこで面白い話をいっぱい聞くようになって、たとえば「ライターとストローには、ある共通項があるんだよ」って教えてくれたんです。
権八:ライターとストローの共通項?わからない。両方ともプラスチックを使ってる(笑)。
澤本:それ安いライターね(笑)。
澤田:正解は「どちらも障害者を起点に開発されている」という説が濃厚なんです。たとえばライターは第一次世界大戦で片腕を失ったアメリカ兵が帰国してタバコを吸おうとして、あれマッチって両腕ないと火がつかないよねと。
澤本:確かに。
澤田:ということで片腕で火をつけられるデバイスとしてライターが開発されたと。ストローも全身に麻痺があって寝たきりの方が自分で飲み物を飲めないと。コップをくわえられても、飲むときに口を開くので絶対落ちるから。じゃあストローがあればいいんじゃないかと。
それを聞いたときに、社会的弱者を弱者として扱っちゃうとそのままでしかないけど、イノベーションのシーズがそこに眠っていると考えると、チャンスだなと。僕も弱者なので、自分達が革命を起こせるかもしれないと。そうこうしているうちに義足女性の写真家や当事者の皆様と知り合って、「もっと義足を堂々と見せたい」という話になった。
中村:なるほど。義足ならではの美しさがあるから。
澤田:そうです。そこでファッションショーにして、義足を最先端のファッションアイテムと捉え直して再定義して見せる活動をしています。忍者ロボットは、目の見えない障害者の方と飲んでいるときに、彼らが「勇気と勘と度胸で信号を渡っている」という事実を知って。
澤本:え、そうなの!?