コピーライターは「一過性の言葉」ではなく「言葉のインフラ」をつくる人達(ゲスト:澤田智洋)【後編】

【前回コラム】「運動神経の悪い人が勝つ!?「ゆるスポーツ」誕生秘話(ゲスト:澤田智洋)【前編】」はこちら

今回のゲストは、先週に引き続き、「世界ゆるスポーツ」代表理事、口説き文句研究家など、さまざまな肩書を持つ澤田さん。「広告力」を生かした活動の実態とは?

今回の登場人物紹介

左から、澤田智洋、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)。

※本記事は11月8日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

口説き文句には「型」がある

中村:澤田さんは肩書が他にもありまして、「口説き文句」研究家でもあるという。

権八:これが一番怪しいですぞ(笑)。

澤田:僕は高校時代、シカゴだったんですけど、アメリカ人って日常的に口説き文句を使うんですよ。信じられないんですけど、月曜日の朝から口説いてるんです。

中村:どんな感じにですか?

澤田:本当に歯が浮くようなセリフで、アメリカンフットボールの中心選手がチアリーダーの中心的な人物を口説いていて。僕はずっと口説き文句を軽蔑してたんですね。しゃらくさい、チャラチャラしてと。でもあるとき、運命の口説き文句と出会ったんです。月曜日にハイスクールに行ったら、フットボーラーがチアリーダーを口説いてたんですけど、「君のお父さん、泥棒なの?」って急に言ったんですよ。

中村:ほう。

澤田:はぁ?と思ったら、その次に、「じゃあ、誰が星を盗んでキミの瞳に入れたの?」って。

権八:月曜の朝から(笑)。

澤田:それで僕は笑っちゃったんですけど、月曜の朝からめちゃくちゃレトリック効いてるなと。すごい落差じゃないですか。緩急があって、コピーとしていいわけですよね。女性のほうも「バカじゃないの」と言いながら、めちゃくちゃうれしそうだったんです。

つまり、表現はアホなんですけど、「キミが好きだよ」と伝えたいという目的は叶えているわけです。そのときに口説き文句ってもしかしたらすごいコミュニケーションツールになりうるんじゃないかと思って。異性間だけじゃなくて、たとえば上司や家族を口説くなど、いろいろなシーンに応用できないかなと思って、研究を15年ぐらいしています。

澤本:研究というのは、口説き文句を考えてるの?

澤田:口説き文句の体系化ですね。

権八:それは仕事としてまとめて今後発表したり?

澤田:たまにコミュニケーション研修を企業でやらせていただくときに使ってます。口説き文句は基本的に観察力が大事で、相手の良いところをまず観察しないといけないんです。観察して抽出したらどう表現するか、ということの掛け合わせなので、ポジティブな世界なんですよ。粗探しの真逆ですね。

権八:なるほど。

澤田:しかもそれが嘘であれば嘘ということも伝わってしまうので、ちゃんとインサイトをつかないといけなくて。要は広告的な作業なんですよ。

澤本:そうだね、極めて広告的だね。人にコピーライティングを教えるときに似たようなこと言うもんね。いいとこを見つけてどうやって褒めようかと。

権八:言いますね。「広告は企業から消費者へのラブレターだよ」と、新入社員のときに習いましたよね。しかし、さっきの「星を盗んでキミの眼に入れた」的なことは、スピードワゴンの小沢(一敬)さんぐらいしか言わなそうで(笑)、なかなかそこまでは難しそうですよね。

澤田:そうですね。これは口説き文句の中でも「キザ型」というもので、かなり特殊な口説き文句なんですよ。

澤本:型があるんだ?

澤田:そうですね。何パターンかあるんです。オススメしているのは「レア型」です。権八さんだったら、高身長で体格が良いから、そこを褒められることが多いと思うんですけど、そこじゃないいいところを見つけて。たとえば、帽子のつばが曲がってないのが逆に素敵ですね、と。

権八:全然うれしくない(笑)。

澤田:今ちょっと失敗しましたね(笑)。

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