コピーライターは「一過性の言葉」ではなく「言葉のインフラ」をつくる人達(ゲスト:澤田智洋)【後編】

誰でも世界的な「ゆるスポーツ」の発明家になれる?

澤本:たとえば、「ゆるスポーツを私考えたい」と思ったら、どうすればいいんですか?

澤田:考える場を定期的に設けているのと、日々、こういうのを考えましたという連絡をいっぱいいただくので、思いついたらぜひ連絡していただきたいですね。

権八:考えてくれた人と面接をしたりするんですか?

澤田:アイデアが面白ければお会いして、どういう思いでつくられたのか、どれぐらい熱量がそこにあるかを聞きます。そこで継続性がどれぐらい生まれそうか判断して、一緒にやりましょうかと。

澤本:今、このラジオを聴いてる人がアイデアを考えて、世界的なゆるスポーツになる可能性はゼロじゃないですよね。それいいよね。スポーツの創始者だよ、だって。

中村:スポーツをつくる、というのが何となく誰もできなさそうに思えたけど、じつはそうじゃないと。

澤田:僕は毎日がエイプリルフールと思って生きていて、大人たちは楽しい嘘をついていると。スポーツも今あるスポーツが全て、というのが、エイプリルフールと考えたら、つくってもいいんじゃないのと。

中村さんがおっしゃる通り、スポーツは産業革命以降、先進国がかなり恣意的につくっていて、それを各国のメディアと政治がいろいろなツールとして利用していることがわかったので、ここはつくっていいなと。そのルールフォロワーが日本は多いから、ルールブレイカーとルールメイカーが増えてほしいので。スポーツをつくるって、その訓練としていいんですよ。

権八:なるほど。

澤田:たとえば今着手しようとしているのが音楽で、楽器演奏者の人数は諸説あるんですけど、日本人の人口比でいうと5-6%ぐらいという統計があるんですね。ということは、残り約90%の人が楽器演奏者じゃないわけですよ。と考えると、楽器弱者が90%いる状況なんですね。じゃあ、なんで楽器やってないの?とヒアリングすると、ピアノ教室で挫折した、狭い部屋に住んでいて騒音が気になる、お金がない、機会がないと。その言い訳をなくすような楽器をつくろうと、今、「ゆるミュージック」というのを仕込んでいて。

澤本:えー、面白いね。

澤田:楽器ってピアノとギターが全てじゃないよねと。ピアノってよく考えたらめちゃくちゃ複雑じゃないですか。あれをみんながやるって、そもそも構造としておかしくないと。

澤本:できないものがあったら、その原因を考えて、その原因をなくすようなものを楽器でも何でもつくっていけば、そこに新しい地平が開けるという話だよね。面白いね。

権八:素晴らしいですよ。

澤田:なので、「タイプシンガー」という楽器をつくっていて。タイプライターじゃなくてタイプシンガーなんですけど、今、日本人のビジネスマンってパソコンでタイピングしている人が多いわけですよね。1日2~4時間ぐらい打ってる人がビジネスマンの40%ぐらいいるというデータがあるんですけど、このタイピングの動きがピアニストそっくりだなと気付いたんです。

中村:うん、確かに。

澤田:と考えると、タイピングが楽器演奏になると、ビジネスマンは1日2~4時間練習しているようなものだなと。なので、このパソコンのキーボードがそのまま楽器になったら、ビジネスマンはみんな今すぐミュージシャンになれるという仮説をもって、タイプシンガーをつくっています。

権八:それはプログラムをつくって、パソコンのキーボードを打つと音が鳴るということですか?

澤田:パソコンじゃなくて、一見すると鍵盤みたいなハードウェアをつくっていて、よく見るとパソコンの鍵盤になっています。楽譜は文字列が並んでいるようなもので、このタイミングでこの文字を打つというのが表示されている。そうするとみんな楽譜が読めるようになります。

次ページ 「コピーライターは「言葉のインフラ」をつくる人達」へ続く

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