【前回コラム】「心も身体も躍らせてほしい、欲張りな私たちが求める次世代ワークアウト」はこちら
最近しばしば感じるのが、メディアを消費するスピードの驚くべき速さだ。Twitterのタイムラインに流れるニュースも、クリックするかどうかを見極めるのに2秒も投稿を見ていない気がする。Instagramのフィード投稿に押す「いいね」も、直感的に「カワイイ!」と感じたものに押しているはずだ。
大流行中のTikTokは、楽曲のオイシイところを切り取って、少々早回しした音楽にノセて動画を撮影するアプリであり、私たち視聴者はそれを数秒見ては縦にスワイプして消費していく。
動画を数秒ごとに消費するスタイルを定着させたのはInstagram ストーリーズだろうか。Instagramストーリーズにおいては、“冒頭3秒でブランドを印象付けるべし”などのアドバイスも公式で出されている。
私たちは、「視界に入れる」「見るべきか判断する」「やめるor 見る」の判断を高速で繰り返しながら過ごしているのだ。
Amazonが加速させる、私たちの気の短さ
そしてこれらの特徴は何もメディアに限ったことではない、と私は思っている。現代の生活の中で、私たちはどんどん「短気」になっていると思うのだ。
例えば、Amazonの誕生によって、「ネットで買い物したら、明日か明後日には届く」ということが普通になってしまった。買い物をしていて「届くまで1週間かかる」と言われたら、苦い顔をしてしまう私たちは、どんなに忙しい生活を過ごしているのだろうか。以前までは普通のことだったのに、すっかり短気になってしまった。
最近は翌日配達に飽き足らず、「プライムナウ」や「アマゾンフレッシュ」など、「ほしい!」から配達までの時間はますます短くなっている。
さらには、「ほしい!」から手に入るまでの“手順の煩雑さ”に関しても、ずいぶん短気になったのではないか。究極はアマゾンダッシュボタンだ。ほしいと思ったら押すだけで注文できる物理的なボタンは「スマホを持つ→検索→発見」までのフローさえも一切吹き飛ばしてしまった。
私たちはもはや「ほしい!」と思ってからそれが叶うまでに、時間がかかるのも嫌だし、手間がかかるのも嫌な、「ワガママで短気な客」になってしまっているのである。