アクセンチュア、およびアクセンチュア インタラクティブ傘下のアイ・エム・ジェイは、1月21日にアクセンチュア インタラクティブ スタジオ東京(東京・港区)にて、CMO(最高マーケティング責任者)の役割変化に関するグローバル調査結果の記者説明会を開催した。
本調査は米国、カナダ、英国、ドイツ、オーストラリアにて、マーケティングの意思決定を行う上級役職者250名を対象に2018年7月から8月にかけて実施されたもの。
説明会に登壇した、アイ・エム・ジェイ執行役員の山本崇博氏は「調査の結果、新しいマーケティング・新しいCMOが求められていることが分かった」と説明。具体的には、調査対象企業の90%が「CMOには、様々な事業部門をつなぐ必要がある」と認識しており、宣伝・広告に依存したマーケティングに留まらず、全社の組織を横断した、顧客エクスペリエンスの実現にコミットすることが求められているという。
同社では、こうした新しいCMOの姿を「コラボレーション主導型マーケター」と命名。調査の結果、「自社の顧客体験が競合よりも勝っている」と答えたマーケターの割合が、「コラボレーション主導型マーケター」(95%)は「従来型マーケター」(68%)より、27ポイント高いことが分かったという。
さらに山本氏は「コラボレーション主導型マーケターCMO」の役割として、「①顧客の声を社内のCクラスに浸透させる」、「②企業内でコラボレーションを主導する」、「③顧客ニーズに合わせたテクノロジーを用意する」、「④イノベーション文化を創造する」の4点を挙げた。
後半ではグローバルでの調査結果を踏まえ、アクセンチュア デジタル コンサルティング本部 アクセンチュア インタラクティブ マネジング・ディレクターの望月良太氏が登壇をし、「日本でもCMOが全社マーケティングをリードすべき」と説明した。
望月氏は、昨今の日本企業におけるCMOが抱える課題として、以下のような点を提示。
・プロダクトアウト志向がいまだに強く、社内におけるマーケティング部門の地位が低い。
・ジョブローテーションにより、特にいま求められているデジタル、デジタルマーケティングなどの専門スキルが育ちにくい。
・事業部単位の縦割りによる個別最適化がなされており、一貫した顧客体験の提供ができていない。
・データ整備、システム対応の遅れ。
望月氏は、こうした課題解決のためには、「日本企業のマーケティングにおいても全社最適化の視点が必要であり、その推進のために日本においてこそCMO職種の設置が必要だ」と話した。
さらにCMOが、他の事業部執行役員と対等に渡り合えるポジションをつくることが必要で、その実現のためには「売上などの経営のKPIに対して責任を持つ。説明責任ではなく結果に責任を持つ」、「経営のKGIとマーケティングのKPIを結び付けて、マーケティングの成果を可視化する」、「共通のミッションを掲げ、Cクラス同士内の共同作業を推進する」といった取り組みが必要だと述べた。