点と点の施策を統合的につなげるデジタル人材の育成が課題
今回の参加企業はアパレルメーカーのアダストリア、語学教育を展開するECC、保険の見直しを提案する保険見直し本舗、バッグやジュエリーを製造・販売するサマンサタバサの4社。挨拶に立ったオプトの中野宜幸氏は「業種業態、ビジネスモデルは違うが、いずれも全国展開する実店舗を持つ」と紹介した。
オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎氏からは、国内のほか海外の最先端のオムニチャネル事例が紹介された。かつて小売りは商品起点の分析が主であり、具体的には、どの商品が何個売れたかまでしか把握できなかった。しかし顧客の購買時のデータの取得も可能になった現代では、誰が購入したか、つまりは顧客起点の分析が可能になっていると指摘。顧客満足を高めて継続的な関係性を構築する新しいアプローチが可能になっており、そのためにオムニチャネル化という手段があるとの考えを示した。
続いてオプトの伴大二郎氏がデータドリブンなオムニチャネルマーケティング施策について事例を交え講演。新規顧客の開拓だけでなく、LTVの概念も用いた顧客との長期にわたる関係性構築も、小売り企業の重要な課題だ。購入後の満足度が高まるよう、購入前から購入後に至るまでを見据えた最適なUXを設計し、そのUX設計が機能したかをデータを基に分析し、精度を高める努力が必要だという。
ディスカッションでは、オムニチャネル化に対応した組織体制が話題となった。
「当社のすべてのブランドでデジタル戦略を実行するには、人材の数や能力が足りていない。まずは店頭スタッフのSNS発信など、できるところから始めている」(サマンサタバサ 遠藤由貴氏)、「デジタルでやるべきことはわかっている。しかしそれを実現し、運用していくプロセスを描くのが非常に難しい」(アダストリア久保田夏彦氏)など、理想は見えながらも、実行における人材の確保や運用体制の構築が課題である様子が見えてきた。
後半はオプトの本郷一也氏、コネクトム・オプトの久米田晶亮氏が位置情報を活用したマーケティングについて、「来店計測が可能となり、送客プロモーションの効果が把握できるようになっている今、プロモーション活動の最適化も図れるようになっている」と最新事情を解説。
続いて、来店施策についてディスカッションが行われた。保険見直し本舗の吉岡大介氏は「Webサイトでの来店予約数をKPIのひとつに設定しているが、来店に至るまでのカスタマージャーニー全体は掴みきれていない」と述べ、無料体験の予約件数を重視するというECCの大久保崇氏は「事前予約の方と、ふらっと立ち寄った方ではモチベーションに大きな違いがある」と説明した。
伴氏は「デジタル施策がうまくいっている企業は細かくリサーチしている」と指摘。久保田氏は「データに詳しい人に相談することが重要」と発言した。
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