共感のヒント~抽象化し相手を理解したうえで表現する、伝え方の新しいフレームワーク【りょかち×井上大輔】 後編

根幹となるのは「人を理解する能力」

りょかち:私は人を媒介して思いつくことが多いんです。何人か同じようなことを言っている人がいたけど、あれってこのことなんじゃないかなとか。そんな風に、自然に人を介して自分なりに情報を抽象化しているんだと思います。

井上:「伝える相手を理解する能力」ですね。対象を理解する能力がないと、その人にとって身近なたとえ話を考えることはできませんし、その人に役立つソリューションを思いつくこともできません。つまり、もう一つ根幹にあるのは「人を理解する能力」だということになる。

整理すると、こんな感じですかね。

1. 具体的な事例を観察する:Observe
2. その中から重要なエッセンスを抜き出す=抽象化する:Abstract
3. それを伝える相手を、深く理解する:Understand
4. そしてそれを表現する:Express

「OAUE」とでも名付けましょうか。語呂が悪いな(笑)。理解をComprehendとして、OACE(オーエーシーイー)としましょう(笑)。オーエースと覚えられます。

1. 具体的な事例を観察する:Observe
2. その中から重要なエッセンスを抜き出す=抽象化する:Abstract
3. それを伝える相手を、深く理解する:Comprehend
4. そしてそれを表現する:Express

「伝え方」の新しいフレームワークができましたね(笑)。このフレームワークの、最後の「Express」の中の一つとして「たとえ話」があるのだと思います。観察して、抽象化して、伝える相手を理解したうえで表現する時に、「たとえ」や「文章」や「図式」や「チャート」や「数式」がある。たとえ話に限らずですが、このフレームワークの力を総合的に高めることが、現代人に求められているのだと思います。

りょかち:Expressの中で最も使いやすいのが「たとえ」かもしれないですね。その場ですぐにできますから。

井上:そうですね。誰でも使えるし、文章だからアウトプット先がツイッターでもいい。

次ページ 「価値観が多様化する社会で求められる「伝える力」」へ続く

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