父・和田誠と篠山紀信さんは、ライトパブリシティで先輩後輩だった(ゲスト:和田唱)【前編】

ライブでは1人で全ての楽器を弾いている

澤本:和田くんのやっているライブツアーに行ったんですよ。行ったら舞台上に和田くんしかいなくて他の楽器の人がいないの。それで後ろにギターやベースが並んでいて、和田くんが1人で、ルーパーというんでしたっけ?

和田:ルーパー、ループペダルとも言います。

澤本:そのループペダルを踏みながら、まず1回ある部分を弾いて録音するわけ。それにまたベース弾いて重ねて、コーラスも重ねて、全部自分でやってるの。

権八:え、ライブでそれやるんだ。

和田:難しい機械があってですね。今は若い人でバンド組まないで、最初からソロ志望の人が多いんですよ。そういう連中がみんな巧みに足でパンパンとペダルを切り替えて、うまいんですよ。音を重ねていくんです。それをちょっと真似してやろうかなと。

権八:なんで上から目線(笑)。

和田:ちょっと悔しいなと思って。僕の今までつくってきた曲は同じフレーズの繰り返しが多いんです。リフだったり1つのコード進行で。『Raspberry』もそうですね。だから僕がルーパーをうまく使いこなせたら、ちょっとすごいんじゃないかと思ったんです。やってみたら難しくて、初日なんて間違いまくるわけですよ。

権八:ライブで。

和田:ライブで。もうひやひやしながら。ツアーもう後半ですけど、いまだにハラハラします。面白いですけどね。

澤本:だから見たことないライブでした。1人で次々とベース弾いてギター弾いてコーラスして。和田くんだから自分の世界に入っちゃうわけ。「あ、ちょっと待って、今違う」って、撮り直して、レコーディングモードに入って。お客さんが見てる前で入り込んで、それででき上がった曲を聞くという。

権八:面白い。

澤本:料理をつくってるのを見て、完成品がこれですというような。

和田:そういう感じありますね。

権八:ソロアルバム『地球 東京 僕の部屋』はなかなか詩的な良いタイトルなんですけど、まず注目したいのはジャケットです。かわいい、5歳の頃のご本人の写真なんですよね。なぜこれにしたんですか?

次ページ 「ジャケットの写真は篠山紀信さんが撮ったものだった」へ続く

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