その3の意志
記者との距離を近づけるために、着席ではなく立った会見
「あ、立っている!」と思ったのは筆者だけだろうか?
通常だが、立ったままの会見は「囲みインタビュー」というものであって記者会見ではない。着席での記者会見のあと質疑応答。その後に、場合によっては立ったままでの囲みインタビューというケースが多い。
立ったままのインタビューをするケース、もう一つは緊急で謝罪しなければいけない場合だ。例えば、「子どもが不祥事を起こした」「異性問題などが雑誌に掲載された」などのスキャンダルの場合、マスコミが殺到し、やむにやまれず仕方がないという場合だ。
ホテルなどの会見場も用意できない場合、何かの番組収録のあと、テレビ局側が適当な部屋を用意して緊急会見を行うことが度々ある。そんなときは、座席も用意できないので、立ったままの囲みになってしまう。
多くの人は知らないと思うが、会見の準備は意外に大変なのである。テーブルの高さからマイクの手配。さらには記者の席の設定から、テレビカメラを乗せる台の設置まで多くのタスクがあるのだ。それが間に合わない場合、立ったままの会見になることが多い。
多くの場合は、着席して会見。必要に応じて立って答えるパターンである。着席の会見でテーブルがあると、たいてい水が用意してある。原稿やメモなどもテーブルの上に置くことができる。足もとの動きも記者から隠すことができる。
だが、約1時間20分にわたる嵐の会見は立ったまま。手にはマイクのみでメモやハンカチはなかった。手を隠すこともできなかった。つまり、自分の意志をそのときに感じた言葉で表現しようとしているのだ。それがひしひしと伝わってきた。
また立ちの場合は、記者やカメラマンとの距離も近い。嵐から記者の顔も見える。そんな距離感なので、フレンドリーさが上手に表現できたのだろう。
また、立っている場合、嵐の5人同士の距離が非常に近い。座っていると椅子の間に隙間があり結果的には画角が広くなってしまう。だが嵐は立っているので、横幅も3メートルあるかないかだった。それが、コンパクトな画角に収まっているのだ。それによって”一体感”を演出しているのだ。一体感は”仲間意識”を上手に表している。
あえて、金屏風の前に座るのではなく、無機質なカーテンの前を選んだのもマスコミとの距離、ファンとの距離を縮めようという彼らの意志なのだろう。
その4の意志
何を言われても気にしない強さと感情のコントロール
中には「無責任」という言葉を用いるなど、あえてムカつくような質問をする記者もいた。このような会見の場では、記者の中には自分が鬼の首を取ったようになり、高圧的な態度に出る者もいる。今回もそのような無神経な質問をぶつけて、反応を見ようという記者もいた。
ご存じの方も多いと思うが、2000年の雪印集団食中毒事件では、記者にムカついた社長が失言によって非難を浴びた。
今回は、さすが嵐。多分考えてきたのだろう。もしくは心を整えてから会見に挑んだのだろう。感情をコントロールしながら最後まで乗り越えていた。最初からメンバーで申し合わせをしたのかどうか?分からないが、乗り切ったのは評価に値すると思う。