2月8日まで東京・虎ノ門ヒルズ 森タワー2F アトリウムで「カタチにとらわれない卓球台 PARA PINGPONG TABLE展」が始まった。
会場に展示されているのは、3台の「パラ卓球台」だ。通常の長方形の卓球台と異なり、片側の奥行きが長かったり、丸かったり、左側に伸びていたりと、これまでに見たことがない変形卓球台。これはパラ卓球選手が自身の障害と向き合ったときに、卓球台をどのように見て、感じているのかを具現化したものである。
パラ卓球台のアイデア開発、コンセプトデザイン、全体プロデュースを手がけたのは、TBWA\HAKUHODOのチームだ。当初、日本肢体不自由者卓球協会からリブランディングをしたいという相談を受けたことから始まった。ヒアリングを行う中で、パラ卓球の選手がプレーをする時、自身の抱える障がいによって卓球台を違ったカタチに感じていること。そして、それを克服するために、それぞれが独自の戦術を考えて戦っていることを知り、それを多くの人に理解してもらえる卓球台。いわば、それぞれの選手ならではの個性を表現した卓球台を制作するに至ったという。
例えばオープニングイベントに参加した、車イスでプレーする茶田ゆきみ選手の場合。立っている選手と同じ卓球台で試合に挑むと、車椅子の動きに限界があり、手の届く範囲が限られてしまう。特にネット際のボールには手が届かず、「自分のコートがすごく長く感じる」という。それを可視化したのが、「奥行きが長い卓球台」である。実際に長いコート側に立ち、手を伸ばすとネット側のボールには全く手が届かず、茶田選手の抱えている課題を実感することができる。
日本肢体不自由者卓球協会 渉外広報 立石イオタ良二氏は「この卓球台でプレーしてもらうと、パラ卓球選手が日頃、どういうトレーニングをして課題を克服しているのか。それぞれが挑む卓球の難しさ、面白さがわかると思います。またパラ卓球の場合、相手の弱点を突くことが相手選手へのリスペクトになり、それが試合の見所にもなるので、この卓球台を通してそういうことが伝われば」と話す。
TBWA\HAKUHODOのチームは、ナショナルチームのパラ卓球選手20名にヒアリングし、選手それぞれが見える卓球台をスケッチしてもらった。それを元に、QUANTUM プロダクトデザイナーの門田慎太郎氏は、全部で約20種類、各30個ほどのプロトタイプを制作。それを実際に卓球台として仕上げたのは、リオ五輪の公式卓球台を製造した三英だ。天板には五輪でも使われているレジュブルーを使用、素材にもこだわり、リオ五輪と同じ技術で制作されている。
同時に、それぞれの選手たちの描いた卓球台をビジュアルで表現したポスターや制作の過程が分かる動画も制作した。TBWA\HAKUHODOシニアクリエイティブディレクター 浅井雅也氏は「世界中の人がパッと見てわかるアイコンをつくりたかった」と話す。
2018年11月に開催されたイベント「ParaFes」でのお披露目を始め、杉並区の小学校で体験会を行った他、スポーツ庁・鈴木大地長官を訪問し、実際に体験してもらったという。今後は商業施設での体験会他、渋谷区役所新庁舎での展示も予定されている。
同展では、「PARA PINGPONG TABLE」3台を始め、ポスターや選手紹介のパネルなどが展示されている。
スタッフリスト
- 広告会社
- TBWA\HAKUHODO
- 製造
- 山英
- 製造協力
- こま美術
- プロダクトデザイン
- QUANTUM
- グラフィックプロダクション
- アマナ
- 音楽制作
- Black Cat White Cat Music
- ポストプロダクション
- Nomad Tokyo合同会社
- Webデザイン
- Slowtime Design
スタッフ
- チーフ・クリエイティブ・オフィサー
- 佐藤カズー
- SCD
- 浅井雅也
- AD
- 木村洋
- D
- 松田健志
- C
- 大石将平
- 演出+編集
- 阿部慎利
- ExPR
- 緑川正人
- PR
- 斎藤竜太郎
- プロダクトデザイナー
- 門田慎太郎
- PRプランナー
- 橋本恭輔
- モーショングラフィックデザイナー
- 住吉清隆
- 撮影(ムービー)
- 鯉野陽介
- サウンドデザイナー
- 戸村貴臣
- 撮影
- 青山たかかず、高梨遼平
- シニアグラフィックプロデューサー
- 伊藤渉
- グラフィックプロデューサー
- 日野裕介
- レタッチ
- 津金卓也
- 音楽PR
- 松宮聖也
- WebPR
- 荒井純
- オンラインPR
- 沖野好常
- マニファクチュアリングマネージャー
- 井川慎也