クロスデバイスマッチングの技術で“ヒト”単位の行動可視化と広告投資を最適化
芹澤:三井物産がドローブリッジのような企業と資本業務提携していることを、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。実はドローブリッジ以前にも三井物産はAOLとジョイントベンチャーを立ち上げたり、リンクシェアとリンクシェア・ジャパンを立ち上げたり、とアメリカのテクノロジー企業と組んだ、国内での事業展開を数々手掛けてきました。
2016年頃からは、特に「People Based Marketing」と呼ばれる、消費者データを活用したマーケティングに着目し、真の“個客”把握、理解にはクロスデバイスマッチングのテクノロジーが必須になっていくと考え、2017年にドローブリッジとの資本業務提携を決めました。
JTBさんとの取り組みでは、まずはクロスデバイスマッチングの技術を活用することで、広告配信頻度を“デバイス”単位ではなく“ヒト”単位で制御することで、広告投資を最適化し、無駄を省き、浮いた予算でタビナカの施策に振り分けていこうという話をしています。
ドローブリッジを使うと、PCとスマホの比率の他、アプリとブラウザの利用比率なども可視化できるのですが、JTBさんのユーザーの特徴は、PCユーザーの比率が高いこと。それゆえ、顧客別に利用のデバイスを紐づけることで、より効果的でお客さまにとっても、不快感を与えない広告出稿が実現します。
さらに福田さんからお話があった、タビナカの行動の捕捉についても、すでにプロジェクトが動き始めています。ドローブリッジは位置情報データと非常に相性が良く、位置情報ベンダーとの協業により、PCのCookie情報とスマホの位置情報データを紐づけることができるので、PCサイト閲覧ユーザーのオフライン行動分析への活用が可能です。
ドローブリッジのサービス概要
JTBが培ってきた店頭でのおもてなしをデジタルでも実現したい
—導入に向けたプロジェクトが始まったのはいつ頃でしょうか。
芹澤:8月頃に話を始め、そこからトントン拍子で進み、10月からスタートというスピード感でした。トレジャーデータさんとは以前から連携していたので、その点でもスムーズに提案を進めることができました。
—それでは、JTBさんがトレジャーデータさんを導入したのはいつでしょうか。
福田:私が入社した3日後です(笑)。
塚原:2018年の4月頃に導入が決まり、そこからデータの構築を進めながら、同時並行でドローブリッジの導入も進んでいきました。当初、トレジャーデータの導入、クロスデバイスマッチング技術のドローブリッジ、さらに位置情報まですべてを紐づけた構想を描き、導入を進められる企業は決して多くないので、もう少し時間がかかるかと思っていました。
しかし、福田さんをはじめとするWeb販売部の皆さんはゴールが明確に描けているので、想像以上のスピードで進んでいきました。皆さんにID統合の必要性、その理解がしっかりとあったことも理由のひとつではないかと思います。
福田:獲得系の施策というより、1to1のコミュニケーションの施策。具体的には、JTBが培ってきた店頭でのおもてなしをデジタルで再現する取り組みとして、各種の施策を考えていたからかもしれません。位置情報の活用も、お客さまの旅の文脈を知ることが目的だったので、ID統合も当然の施策と捉えていました。
—今後の展開として考えていることをお聞かせください。
秦野:フェーズ1は先ほど話しに出た、広告出稿の最適化です。フェーズ2はJTBグループ全体での顧客基盤の統合に向けた取り組みです。例えば、グループ会社には「るるぶ」を発行するJTBパブリッシングもあります。こうしたグループ各社による、Webサイトやアプリから得られるデータを統合することで、私たちが掲げているタビナカのデータの捕捉もより深く可能になるのではないかと考えています。
フェーズ3では、データの先のお客さまに対して多種多様な打ち手をつないでいき、JTBのブランド資産である、おもてなしをさらに向上させていきます。MA等の打ち手となる他のツールとの拡張性が高いトレジャーデータの強みが生きる場面であり、こうした展開を見据え、トレジャーデータの導入を決めました。
福田:JTBにおけるデジタル化の意味とは、決して新しいテクノロジーを導入することではありません。秦野が話したように、これまで現場で培ったブランドを、いかにデジタルで再現するか。その再現における魂の入れ方こそが、JTBのデジタル化において重要だと考えています。
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三井物産株式会社
ICT事業本部 デジタルマーケティング事業部 マーケティング事業第一室
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