※本記事は株式会社博報堂のコラムで掲載された記事を表示しています。
クリエイティブとAI技術(Artificial Intelligence Technology、以下AI)の融合から生まれた“CG女子高生”Saya(サヤ)。3DCGで描かれ、表情認識AI、視線認識AIを巧みに取り入れた実写のようにリアルな女子高生が、2018年3月にアメリカ・オースティンで開催された「SXSW Trade Show」で衝撃的なデビューを果たし、多くの来場者を驚かせました。技術面でチームをけん引したテクニカルディレクターの中原玄太に開発の裏側についてうかがいました。
AI×クリエイティブ – その可能性を追求したいと思った
僕は現在博報堂のビジネスインキュベーション局所属で、普段はマス広告のみならず、旧来の広告文脈では語られない新たなビジネスモデルにチャレンジするような業務に携わっています。
もともと大学院で数学を専攻しており、博報堂に来る前は金融工学の会社でプログラミングベースの近似計算によるプライシング(値付け)の仕事をやっていたのですが、2012年に博報堂に入社し、初めて統計を使ったマーケティング手法というものに触れて、新鮮さ、面白さを感じていました。そんな折、プライベートでRhizomatiksの真鍋大度さん、Qosmoの徳井直生さんが主催する「2045」というクラブイベントに参加し、そこで衝撃を受けました。
イベントでは、参加者のプレイリストを同期、曲のジャンルを解析してAIに選曲させたり、AIとDJが交互に曲をつないでいくといった実験的な試みがなされていて、AIや数学がクリエイティブの世界を拡張するのを目の当たりにしたわけです。そこからクリエイティブへのAIの活用にぐっと興味が増していきました。
縁あってその後Qosmoの徳井さんと面識を得て、個人的にAIのことを教わったり、Rhizomatiksの方の社内講演を聴講、openFrameworksというフレームワークを活用したライブ演出方法などについて知り、CGでは何日もかかるような表現がリアルタイムで可能になることに非常に感銘を受けました。数学を学んだ人間にとっては、ビジュアルコーディングやAIモデルの学習って、普通の人より多少敷居が低いかもしれません。
なので早速、趣味のような感覚で、自分でもopenFrameworksを使っていろいろと試してみるようになりました。社内のワークショップでもプログラミングベースのアウトプットを使って課題を提出したり、友人のミュージシャンにミュージックビデオをつくったりしていました。
長くなりましたが(笑)、2017年の5月、僕のそんな活動を知ったSayaの博報堂内のプロデューサーから「チーム内にAIに詳しいメンバーがいないので、Sayaチームにレクチャーしてほしい」と言われたのが、僕とチームとの最初の接点でした。
Sayaを成長させていくきっかけとなったクリエイティブディレクターの想い
そもそも、SayaプロジェクトにAIを活用していくことになったのは、プロジェクトのクリエイティブディレクターであるTBWA\HAKUHODOの新沢崇幸さんのアイデアから始まりました。
博報堂 MDビジネスインキュベーション局所属
テクニカルディレクター 中原玄太
熊本県牛深市(現、天草市)生まれと育ち。
主な著書に「EXCELでわかるLIBORディスカウントとOISディスカウント」(きんざい)、
主な論文に「A NOTE ON NEW CLASSES OF INFINITELY DIVISIBLE DISTRIBUTIONS ON R^d」(Elect. Comm. in Probab.)、
主なMV制作に「死神ナイトフィーバー / 杉本ラララ」(lalala music)、
好きな言葉は「言葉はさんかく こころは四角」。
コンテンツパートナー記事とは
AdverTimes編集部が注目する広告界のオウンドメディアから
読者に届けたい記事を厳選し掲載しています。