人気キャラクターを生み続ける絵本作家 たかいよしかず ークリエイティブの視点 vol.38

Baby Kumonの公式キャラクターとして活躍している「くろくまくん」、マーブルチョコのキャラクター「マーブルわんちゃん」を始め、数々の人気キャラクターを世に送り出しているたかいよしかずさん。近年は絵本作家としても注目を集めている。

たかいさんの個展の様子。

人気キャラクターを生み続ける絵本作家

絵本『くろくまくん』は2008年から現在までにシリーズで36冊が発刊されている。近年は絵本作家として注目を集め、ボローニャ国際絵本原画展でも数回の入選を果たしているたかいさんだが、実は大阪を拠点とするデザイン会社京田クリエーションの代表取締役を務めている。大阪芸術大学デザイン学科卒業後に、同社に入社し、数々のキャラクターデザインを手がけてきた。

兵庫県西宮市観光キャラクター「みやたん」と千日前商店街キャラクター「みにゃみん」。

子どもの頃から可愛いものを描くのが好きで、小学校の時にはすでに漫画家になりたいと考えていたたかいさん。大学は迷わず大阪芸術大学へと進んだ。大阪芸大在学時は、北杜夫さんの「どくとるマンボウ」シリーズのイラストを手がけた佐々木侃司教授に教えを受けた。ある時、絵本制作の課題で、たかいさんは表紙の色が違うけれど中身が同じ2冊の絵本を提出した。

うさぎがさまざまな楽器を奏でるというストーリーの1冊目を読み終えた教授が、2冊目を読み始め、「なんだ、同じ内容じゃないか」と言いながらめくった最終ページ。1羽のうさぎがすべての楽器を奏でているという、1冊目とは違う展開に「おもしろいなあ」と言ってもらえた。「教授にあのとき褒めてもらえたことが、いまでも仕事を続けている原動力になっています」。

企業キャラクターも数多く手がけているたかいさん。企業のテーマに合わせて、かわいい動物の王道のキャラクターと何者かわからない不思議なキャラクターを2案提案することが多いという。「キャラクターはコミュニケーションのツールで、誰かと誰かをつなぐもの。それゆえに見た人に何か引っ掛かりを残すことが大事。だから、時にはなんだかわからないキャラクターの方がいいこともあるんです」。

新しいキャラクターを作るために、日頃から映画やエンターテインメント施設などに足を運び、いろいろなものを吸収することを怠らない。「今の自分は半分デザイナー、半分作家。デザイナーの自分がいろいろな情報を吸収し、それを作家の自分が料理しています。そのバランスが今はちょうどよい感じです」。

たかいさんは10数年前から自らを「ハッピークリエイター」と名乗っている。ある本を読んだことがきっかけで、デザインの力で多くの人たちの生活を楽しくするべく、ライフデザイナーと名乗ることに。

その後、ギャラリーのオーナーからのアドバイスで「ハッピークリエイター」と名乗るようになった。「小学生の頃、自分が描いた4コマ漫画で友だちが笑ってくれたのが嬉しかった。

そのことが、自分のものづくりの原点に。それ以来、僕は自分の仕事を見た人が喜んで、幸せになってくれることが自分のミッションと考え続けてきたので、まさに自分はハッピークリエイターだと思えるようになりました」。

在学中に夢見た絵本作家になって20年、今年も7冊の絵本の出版を控えている。次の目標は、自身のオリジナルアニメを作ること。マルチの才能を発揮するたかいさんは、すでに次の活躍の場を見据えている。

講演会の様子。

たかいさんの絵本『ともだちのつくりかた』と『クッキーくろくま』。

たかいよしかずさん

 


編集協力/大阪芸術大学

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