人の繋がり=お見舞いの数、と考えてみる
石川:時代が変わったのもあると思うんですけどね。これまでは「早死にしないこと」がゴールだったんですよ。でも今の時代はあまり早死にする人がいなくなって、もちろん最後はわからないところがあるんですけど、50歳、60歳を超える人が増えてくると、次は「90歳、100歳まで元気でいるにはどうしたらいいか」になって、予防医学も問いが変わったんですよね。
澤本:なるほど。
石川:そこで調べてみると、「繋がり」が大事らしいということがわかってきたり。あるいは「地位の高さ」ですね。
権八:地位の高さ!?
石川:繋がりと地位の高さは21世紀の二大要因ですね。
一同:えー!
権八:ちょっともう勝ち組じゃないですか澤本パイセン。
中村:澤本CD。
澤本:いやいや、権八、ずっと友達でいてね。
権八:もちろんですよ。電通の偉い人ですからね(笑)。
澤本:いやいや偉くないよ。
石川:地位の高さというのは近所の自治会の副会長でもいいんですよ。僕は数年前、自治会、老人会など趣味の会で、平のメンバーと役職付きの役員、どっちが長生きか、数万人調査したんですね。
権八:すごい(笑)。それぐらいやらないとね。
石川:65歳以上の方々をずっと追跡して、どなたが長生きされるかと調べたら、最初わからなかったんですよ。どっちもどっちで、地位が高いとストレスも多いですし、マイナスも多いんだけど、やりがいなどプラスも多い。一方、平のメンバーはマイナスもプラスも小さいんですよ。トータルどっちかわからなかったんですけど、調べてみると、近所の会、趣味の会でも、役職がついていたほうが寿命に影響するという。不思議なことですよね。
権八:「お友達が入院して、その子にお見舞いが来た」という話も面白いじゃないですか。要するに、誰かが病気になって入院したとして、1人1回ぐらいはお見舞い来てくれるかなと思うじゃないですか。でも何回も来てくれるかなと思うと、ちょっと不安になりますよね。
石川:澤本さんが万が一、今日から1か月入院するとして、2人は何回お見舞いに行くかですよ。
権八:僕はたぶん毎日行きますよ(笑)。
石川:みんな忙しいですからね。その中、1回は行くけど、2回以上来てくれるかが決定的に大事だなとか。
澤本:確かにそうだ。
中村:2回以上来ると、ちゃんと繋がりを感じるという。
石川:そういう人がどれだけ自分にいるかということなんですけど、裏返すと2回以上お見舞いに行ってあげたい友達は何人ぐらいいるかな、ということなんですよね。
権八:自分自身を振り返ってね。それ明確なデータがあるらしいんですよね。つまり、同じ病気で1カ月入院して、お見舞いに誰も来なかった人、1回しか来なかった人、2回以上来る人・・・うまく説明できない(笑)。
中村:でも確かにだいたい1回ですよね。行っても1回で、2回行くと行きすぎなんじゃないかと。
権八:確かに。2回以上お見舞いに来る人がたくさんいた人ほど、致死率が低かったと。
石川:そうなんですよ。これはアメリカの研究で、衝撃だった研究です。同じ病院で同じ先生に同じ治療を受けてるんですよ。だから医療というレベルでは全く変わらないんですね。違ったのはお見舞いの数。何となく医療関係者は知ってるんですよ。誰もお見舞いに来ない人といっぱい来る人だと、その後の回復度が違うと。
それを初めて実証的に研究してみて、誰もお見舞いに来ないような人は早死にで、たくさん来る人は長生きすると。どうしても僕らは患者になると、最高の医療をと思いがちなんですけど、最高の医療を提供してくれる病院が必ずしもお見舞いに来やすいロケーションにあるかというと、そうでないこともあるんですよ。
澤本:確かに。
石川:今の時代、よほど特殊な病気じゃなければ医療レベルはそんなに変わらないですから。だから、「お見舞いに来やすい」という観点から病院を選ぶのも実は重要なんです。
中村:雑に言えば「社交的な奴がいい」と。一方で、石川さんの経歴を調べると、ニートだったんですよね。逃げてばかりだったと書いてあって、おかしいじゃないかと思うんですが(笑)。
石川:よくご存じですね。
中村:しかもニートからハーバードに行ってるというわけのわからない経歴なんですけど、これはどういうことなんですか?