悪代官スペシャルの方法
読みながら、実際に自分でやってみてください。
ステップ1:口を開けてゆっくり息を吸い、口を閉じ、あごを下げ口の中に空間を取ります。
(ここではプロの呼吸ワザが身につきます)
口の中の空間を広くとれば、声を響かせることができます。「口を開けよう」と意識する必要はありません。口を開けて呼吸をすれば、自然に口の中の空間がとれて、声が響くようになります。
ステップ2:口は閉じながら、手をお腹に当てて「フッフッフッフッ……」と悪代官の気持ちで笑う。お腹が動くのを確認します。
ステップ3:ステップ2の笑顔のまま、越後屋と目配せするつもりで、ゆっくりと「越後屋、(間合い)おぬしも(間合い)悪(ワル)よのぅ~~」と言う。
「越後屋」の「え」、「おぬしも」の「お」、「悪」の「わ」を少し強めに言います。
(ここでは、スピード感、間合い、アイコンタクト、笑顔で話す技術が身につきます)
実はこの「悪代官スペシャル」で滑舌の問題も一気に解決できます。プレゼンでしゃべれなくなるとき、大抵の人は、「今日はなんだか滑舌の調子が悪いなぁ」と思ってしまいがちです。でも本当は違います。ほとんどの場合、原因はたった一つ。早口になっていることです。人前で緊張すると興奮したり心臓がドキドキするのと同じで、気がつかないうちにいつもより呼吸も浅くなり、早口になっているものです。
ためしに本番プレゼンで「今日はできるかぎりゆっくり話そう」と心がけながら、プレゼンを録画してみてください。自分はゆっくり話しているつもりでも、後で動画再生して見ると、「こんなに早口だったの?」と驚かれるはずです。これは本番特有の現象です。
事前リハーサルでは、こういうことはあまり起こりません。本番は緊張して、誰でも無意識に速くなるものなのです。だから本番では、普段はスラスラ言えているようなことさえ言えなくなってしまうのです。
では、どうするか?
「あり得ないくらい」ゆっくり話せば、滑舌の問題はほとんど解決します。そのための悪代官の台詞のスピードなのです。
ゆっくり話すためにもう一つ大事なコツをお伝えいたしましょう。
言葉を区切る。
どんなに難しい言葉でも、区切って言えば、確実に言えるようになります。「この言葉、ちょっと危険だなあ」と思ったら、区切った間合いの後、分からない程度に小さくアクセントをつけるとさらに確実です。
言葉を少し区切って、間合いの後に小さくアクセントをつけると絶対に失敗しません。少しずつ間合いを短くして、間合いに気がつかれないようにしていければ完璧です。