「心の疲労」は6時間以上寝ないと取れない?(ゲスト:石川善樹)【後編】

睡眠は7時間以上取らなければ意味がない?

中村:もう1つ、聞きたかったのは幸福度の話で、日本は自殺率高いじゃないですか。善樹さんは、瞑想のことも研究していますよね。僕らのクリエイティブな仕事は理不尽なことも多くて精神を病む人いるんですけど、瞑想は自分の精神健康にどういいんですか?

石川:一番は瞑想の前に寝ろというのはありますね。

一同:(笑)

石川:夜ちゃんとベッドに向かうと。夜、ベッドにすら向かえない人間が一体どこに向かえるんだと。朝起きることすらできない人間が、一体この社会で何を起こすことができるんだと。寝るというのは基本中の基本ですよね。

権八:名言っぽい(笑)。

石川:睡眠は序盤・中盤・終盤で機能が違うんですよ。よくできたもので、序盤はだいたい寝はじめから3時間なんですけど、脳の疲労を回復してくれてるんです。中盤は3時間から6時間。体の疲労を回復してくれます。心の疲労は6時間目以降なんです。だから睡眠は6時間以上とらないと、ストレスは全然回復できてないんですね。

澤本:えー、やばい。

権八:何時間寝ればいいんですか?

石川:7時間ぐらい寝たら十分です。

権八:心の疲労はラスト1時間で。

石川:レム睡眠がよく出る期間なんですけどね。人によってショートスリーパーもいるので、7時間はあくまで目安で、日中眠くならないぐらいの時間が一番いいんですね。もう1個あるのが、「寝てるときの自分のほうが今のあんたより賢いからね」ということなんです。

一同:え!?

石川:起きてるときより寝てるときのほうが脳は活発に動いていて。要は、寝てるときにいろいろな情報を処理してくれるので、頭のいい順、クリエイティビティが高い順に並べると、一番は寝てるときです。特に寝初めの最初の3時間。遠いところの記憶どうしを結び付けてくれてるんです。これが定着するのが6時間目以降の睡眠なんです。

だからちゃんと寝ないと、せっかく最初の3時間で良いアイデアを思いついてくれているのに定着してないという悲劇があるんですね。寝てるときが一番クリエイティブで、次がボーッと歩いてるときやシャワーしてるときです。

中村:確かに。

石川:一番クリエイティビティが低いのが机に向かってるときですね。寝てるときのクリエイティビティをもっと信じてくださいと。だから寝るときは「あー疲れた」と寝るんじゃないんですよ。「じゃ、後はお任せしまーす!」と言って寝るんですよ。

一同:(笑)

権八:関係あるかわからないんですけど、一所懸命考えていて、今日はダメだ、思いつかないと言って、よし寝ようと寝るじゃないですか。眠ろうとした瞬間、思いついたということありますよね?

石川:そうそう、ボーッとしてるときです。専門的に言うと、デフォルトモードネットワークというのが活性化してるんです。

権八:なんですか、そのTMネットワークみたいのは(笑)?

石川:クリエイティブなときの脳と言われてるんですけどね。アイデアが思いつく。酒飲むとデフォルトモードネットワークになりやすいんです。理性が働いてると、クリエイティブモードは落ちるんですよ。ここはトレードオフ構造になっているようで、酒飲むと理性が落ちる、ロジックが落ちるので、結果クリエイティビティが上がるというのはあるんですね。

澤本:そういう風に主張しても嘘じゃないんですね。

中村:飲みにいくぞと。

澤本:打合せをしていて、にっちもさっちもいかなくなると、飲みながらやろうと飲みながらやると出てくるよね。いいのか悪いのか、場的なもので出てるのかわからないけど、とりあえず出たと喜んで、また飲んでるけど。それはいいことなんだね。

次ページ 「日本人にとっての「いい生き方」とは何か?」へ続く

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