「まんが日本昔ばなし」のエンディングソングに答えを見つけた
石川:不思議な構造をしてるんですよ。これは日本人の精神構造をよく捉えていて、たとえば日本にしかない慣用句ってあるんですね。「幸せすぎて怖い」と。これ英語圏にはないんです。プラスもマイナスも振れすぎると怖い、フラットな状態がいいと。ゼロをベースにプラスとマイナスに振れるのが日本人の好きな、いい人生の原風景というんですかね。僕は「まんが日本昔ばなし」を毎夜見続けてるんです。一番好きなのが「火男」。
権八:火の男ですか?
石川:絶対見てください。見つくした中でダントツです。ダントツでいいんです。杉井ギサブローさん、漫画「タッチ」のアニメ監督です。まんが日本昔ばなしはいろいろな監督が同じプラットフォームで競い合って戦ってるんです。その中で杉井ギサブローさんの「火男」はベストオブベストですね。3、4段階飛びぬけてます。ここにいい人生とは何か?の原風景が全部詰まってます。いろいろ見て思ったことがあって、日本人にとってのいい生き方の原風景は、最終的にはエンディングソングに現れてるんです。
中村:ほう。
石川:「人間っていいな♪」という。なぜ人間っていいのか? なぜ全動物が人間に憧れてるかというと、「動物にはない3つの要素」が人間にはあるんですね。1つが温かいごはんなんです。
権八:火を使えるからね。歌詞にあるように。
石川:そしてお風呂。そしてぽかぽかのお布団。うまいメシがあって、風呂入って、布団で眠れるというのは全動物が憧れる幸せの三種の神器ですよ。
一同:(笑)
石川:ごはん、風呂、ふとん。これだけでいいんですよ。この3つを手に入れているありがたさを身に染みてわかっておけ、ということだと思うんですね。
権八:なるほど。
石川:僕がさんざん、日本昔ばなしを見てたどりついた結論はそこです。求めすぎなんです。立ち返る場所はそこだということですね。
権八:大事なことですよね。
中村:というわけで、そろそろお別れの時間が近づいてきております。善樹さん、ダイエットやウェルビーイングの著書がたくさんあるので、面白いと思った方は見てみてください。
石川:ありがとうございます。
権八:1ついいですか? 僕、earth music&ecologyというアパレルのCMを作っているんです。女の子がどう幸せに生きるかがメインテーマなんです。さっきの「幸せすぎて怖い」という言葉も、宮﨑あおいちゃんに言ってもらったことがあるんですよ。「幸せ過ぎて怖いなら幸せをパーっと使おう」と。
さっきのメシ、風呂、ふとんも、鈴木京香さんに似たようなことを言ってもらったことがあって。「ちゃんと食べて、ちゃんとお風呂に入って、ちゃんと寝て、ちゃんと歩けば、幸せなんて、向こうからやってくる」と言ってもらったりしていたので、今日は勝手にめちゃめちゃ腑に落ちました。
石川:GLAYもそうですよ。GLAYの「pure soul」という曲があるんですけど、「何不自由のない暮らしだな」と始まるんです。だけど、どこか満たされないと。これを聞いて震えましたね。何不自由はなくても満たされない、お金がいくらあっても満たされないのが人間の本質であると。だから、ウェルビーイングを考えるのは非常に面白いんですよね。何かがたくさんあってもダメだし、なさすぎてもダメだと。
権八:THE虎舞竜も歌ってますよね。「何でもないようなことが幸せだったと思う」と。
石川:次はJポップ研究しましょうか(笑)。
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