宣伝会議デジタルマーケティングカンファレンス2019レポート(日本オラクル)
登壇者
日本オラクル株式会社 クラウド・アプリケーション事業統括
事業開発本部 ビジネス企画・推進部 担当シニアマネジャー
横山 富 氏
BtoB、BtoC問わず、ビジネスにおいてはロイヤルカスタマーの育成が大切だ。既存顧客からのクロスセル・アップセルに掛かるコストは、新規顧客獲得のコストの1/5と言われる。ロイヤルカスタマーを育成できれば、収益基盤が出来上がっていく。ロイヤルカスタマーを育成するのは、デジタルマーケティングだけの役割だけではない。既存顧客と接点の多いコンタクトセンター(カスタマーサポート)も重要な役割を担う。横山氏は、その理由を、とあるケースを挙げながら説明する。
たとえば、MA(マーケティングオートメーション)ツールから新商品のご案内を送ったとして、その配信対象に既存顧客が含まれているとする。既存顧客が興味を持ってメールをクリックし、Webサイトを回遊するとMAツール上でのスコアは上がる。ここまでは想像できるだろう。
一方で、既存顧客がこの商品に興味を持ち、メールを開封してすぐコンタクトセンターに問い合わせて、質問するとどうだろう。これだけ興味度合いが強いのに、MA内のスコアは上がらない。コンタクトセンター側で新商品の説明をしても、「検討します」と言われて電話がクローズしてしまい、社内の誰にも共有されないままかもしれない。
残念な話だが、マーケティング部とコンタクトセンターで使うシステムが連携されていない場合は多く、このようなことは起こりうる。本来は、コンタクトセンターへの問い合わせがマーケティング部や営業部に連携され、担当営業が参考資料を送ってフォローしたり、特別なキャンペーン案内を送って購入を促したりといったアプローチを取るべきなのだ。
日本オラクルは、あらゆる顧客接点を持つクラウド・プラットフォームをワンストップで提供しているため、マーケティング部で利用する「Oracle Eloqua」とコンタクトセンターで利用する「Oracle Service Cloud」を連携することで、部署間を越えた情報連携を可能にする。
こうすることで、「トラブル対応中であれば、MAから不用意に販促のEメールを送らないように制御する」といったことも可能になる。部署が横断的に一人(一企業)の顧客のデータを取得・共有できれば、より良いCX(カスタマーエクスペリエンス)を提供することができるようになるのだ。
また横山氏は、CXには「メッセージングの一貫性」も重要だと話す。たとえば見込み顧客に広告を打ったとして、「北海道旅行を訴求する広告のリンク先がコーポレートサイトだったら、ユーザーは離脱してしまう。リンク先のWebサイトでは、ユーザーがさらに北海道へ行きたくなるような情報を提供するなど、Webサイトと広告を連動させなければならない。」
そうした一貫性があれば、ユーザーの興味は喚起される。そして、メールアドレスを登録してもらうことができ、そこからMAツールでプッシュのアプローチができるようになるのだ。
一方、MAツールを使ったアプローチにおいては、ディスカウント等のオファーありきな、企業都合で行ってきた従来のコミュニケーションを改めることが必要であると横山氏は説く。「大切なのは、お客様中心の考え方です。どのお客様に、どういったメッセージを送り、どのような体験をさせるのかを考えなければなりません」。
横山氏は、そうした前提を述べた上で、3つのポイントを挙げる。それは、「タイミング」「ABテスト」「自動パーソナライズ」である。タイミングや自動パーソナライズの例としては、たとえば消耗品を扱っている場合、日本オラクルのOracle Analytics Cloudに顧客の購入履歴を登録することで、機械学習によって次の購入時期を予測。購入に差し掛かるタイミングで顧客に購入を促すメールを送るというしくみを構築できるのだ。こうして「タイミングを逃さない」ためにも、そのために必要なデータを揃え、分析するための基盤を持つことが重要となる。
デジタルマーケティングの施策を打つと、あらゆるデータが取得できる。そのデータを元に次の施策を打つことで、より施策の精度が増し、登録や購買といったゴールに繋がるのだ。「従来の勘や経験によるマーケティングから、データに基づいたマーケティングに変わらなければならない。それができれば、より良いCX提供にも繋がる」と横山氏は語った。
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