国内の総広告費は7年連続のプラス成長に
電通が2月28日に発表した「日本の広告費」の発表によると、2018年の国内広告市場は6兆5300億円(前年比102.2%)。2012年にプラスに転じてから7年連続で前年を上回る結果となった。2018年は先行き不透明な世界経済や自然災害の発生などの不安材料があったものの、好調な企業収入による日本経済の後押しが総広告費の7年連続成長に繋がったと見られている。また、成長を続けるインターネット広告費も総広告費全体をけん引した。
インターネット広告費の二桁成長、5年連続に
インターネット広告費は、1兆7589億円(前年比116.5%)と5年連続で二桁成長。地上波テレビの広告費1兆7848億円に迫る結果となった。大規模プラットフォーマーを中心に高い成長率を見せた運用型広告のほか、SNS上での活用も増加した動画広告の成長が加速したことが主な要因とみられている。本広告費には含まれていないものの、2018年にはEコマースメディアにおける広告市場が急成長したことから、同分野にも注目が集まっている。
また、今回からインターネット広告費の一部として、「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」の項目が追加された。これはマスコミ四媒体事業社などが主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費を推定するもので、マスコミ四媒体広告費には含まれない。
2018年のマスコミ四媒体由来のデジタル広告費は582億円で、中でも出版社由来のデジタル広告費(雑誌デジタル)は337億円で二桁成長となった。出版社系デジタルメディアの成長、出版社のデジタルトランスフォーメーション、多様なコンテンツホルダーとしての大規模な事業開発により、新領域ビジネスの伸長が期待されている。
減少が続くマスコミ四媒体広告費
微減が続いていたマスコミ四媒体広告費は2兆7026億円(前年比96.7%)となった。2018年唯一のプラスとなっていたラジオ広告費は1278億円(同99.1%)となり、3年ぶりにマイナスに転じた。テレビメディア広告費(同98.2%、1兆9123億円)、新聞広告費(同92.9%、4784億円)、雑誌広告費(同91.0%、1841億円)も前年を下回る結果となり、雑誌広告費は14年連続でマイナスとなった。
プロモーションメディア広告費は2兆685億円(前年比99.1%)だった。交通(同101.1%、2025億円)、POP(同101.3%、2000億円)、展示・映像ほか(同105.8%、3585億円)が微増となり、その他は前年を下回った。
業種別では、21業種のうち5業種で広告費が伸びた。増加したのは薬品・医療用品(同100.6%)、精密機器・事務用品(同123.2%)、金融・保険(同101.0%)、教育・医療サービス・宗教(同101.6%)。2017年に好調だった「不動産・住宅設備」(同93.4%)、「エネルギー・素材・機械」(同96.5%)を含む16業種が減少となった。