乗降者数は43万人超え買い物は栄地区より名古屋駅
2027年の品川駅―名古屋駅間リニア中央新幹線の開業に向け、名古屋駅が進化を続けている。
JR名古屋駅の1日の平均乗降者数は、2012年度の38万6600人から、17年度は43万2000人と、約5万人増えた。一方、17年に全面開業したJRゲートタワーをはじめ、駅周辺の再開発でオフィスが増床し、通勤に利用するビジネスパーソンも数を増している。
買い物客の意識も名古屋駅に向きつつある。2000年に「ジェイアール名古屋タカシマヤ」が駅の隣に開業して以降、ジェイアール東海エージェンシー(JTA)が2017年に行った調査では、商業エリアとして知られる栄地区よりも、名古屋駅を買い物の場として選ぶ人が増えている。
名古屋駅の特徴はもうひとつある。
それは「長距離」の移動と「中・短距離」移動の交差点であることだ。
愛知県内や東海エリア各県の住民が名古屋駅をハブとして東京や大阪へ長距離移動するケースはめずらしくなく、名古屋駅に人が集まる一因にもなっている。
つまり、平日はビジネスパーソンが増えており、休日は買い物客やファミリー層が集まるようになった。そのため、JR名古屋駅は「B to B広告とB to C広告のどちらも効果が期待できる」と、JTA交通広告部の松永泰典氏は話す。
従来のイメージを刷新するポルシェが車両展示イベント
ポルシェセンター名古屋は2018年5月11日〜13日の3日間、名古屋駅直結の「JRゲートタワー」に新たに設置されたイベントスペースを活用し、自動車展示イベント「PORSCHE(ポルシェ)Meet’s JRGatetower」を開催した。
会場では、スポーツカー「911」をはじめ、コンパクトSUV「マカン」や4ドアセダン「パナメーラ」など、ポルシェの最新モデル計7台を展示した。
「これまで間近でポルシェを見たことがなかった、多くの方々にポルシェの魅力を体感していただこうと、イベントを実施しました」と話すのは、ポルシェセンター名古屋の面手利輝氏だ。
同氏はイベントを実施した背景について、こう話す。
「かつてポルシェといえば、“2シーターのスポーツカー”というイメージが強かったのではないでしょうか。
しかし、現在はさまざまな車種を展開しています。SUVもあれば、4ドアスポーツサルーンもある。さらには高性能ハイブリッド車まで。こうしたラインナップの幅の広さについての認知度を高め、より多くのファンを獲得しようという狙いがあります」(面手氏)
2018年5月にオープンした「JRゲートタワーイベントスペース」の広さは、約300平方メートル。さらに、吹き抜け構造を持っているため、並んだ自動車は上からも見られることになった。幅をつめて配置したとしても見栄えがよくなり、スペースの広さ以上に、工夫した設営の効果も期待できる。
近年のプロモーションでは、「メッセージを理解させる」よりも「(自ら)気づくようにする」、「説得する」よりも「古い記憶を更新する」ほうが望ましいとされる。
かつてのポルシェのブランドの要点だった、“2シーターのスポーツカーブランド”というイメージを、“用途に合わせた幅広いラインナップがある”に変えるためには、言葉を連ねて教え説くよりも、ターゲットが集まる場所に届け、実物を見せて気づいてもらうほうが早い。ポルシェの施策には、こうしたプロモーション手法の変化も透けて見える。
そして、このスペースのもうひとつの特長は、「駅や商業施設の入口であるからこその“偶発的な出会い”という価値です」(JTA企画マーケティング部の鈴木秀平氏)。
「実際に、イベントを窓口とした購入実績もありました。引き続き、販売店告知とラインナップ告知をしていく必要があると考えています。また、車両展示だけでなく、新たな企画にも取り組んでいきたい」(面手氏)
「JRゲートタワーイベントスペース」は飲食提供も可能な点が特徴的だ。
2018年のクリスマスイベントでは、ワインの提供も行った。
JTAの松永氏は、「今後はお菓子や飲料のような消費財にも注力していきたい。名古屋駅周辺でイベント開催についての問い合わせは増えてきており、JRゲートタワーイベントスペースなら、従来以上の活用ができる」と力を込める。
さらなる展開が期待されている名古屋駅。今後、さまざまな「体験」がこの場で生まれていきそうだ。
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