マッキャン・ワールドグループ ホールディングスは3月5日、東京・南青山の本社にて、3月8日の「国際女性デー」の関連イベントを開催した。
イベントでは、独自調査「TRUTH ABOUT GENDER IN JAPAN – Women and Men at Work -/働くことにおけるジェンダーの真実」の結果が発表されたり、元カルビー代表取締役会長兼CEOで現RIZAPグループ 取締役の松本晃氏とカルビー 執行役員 フルグラ事業本部 本部長 藤原かおり氏が登壇する「ビジネスにおけるジェンダーイコールの、今と未来。」と題したパネルディスカッションなどが開催された。
イベントは、マッキャン・ワールドグループ代表取締役会長の並木博氏の挨拶からスタート。
その後、WLN(Women’s Leadership Network)の活動について、WLNのCo-Chairを務めるマッキャン・ワールドグループ CFOのJi Watson氏と、WLNキャリアコミッティリーダーを務めるMRM//McCann ビジネスディレクター 大塚理恵氏から説明があった。
マッキャン・ワールドグループ ホールディングスも加入しているIPG グループ(全世界100社、5万人)では、IPG グループ内におけるジェンダーの平等と⼥性の活躍を⽀援することで⼥性経営幹部を増やし、ビジネスを⾶躍的に発展させることを⽬的に、2006 年に「IPG Women’s Leadership Network(WLN)」を発⾜。⽇本ではIPG WLN Japan Chapter (Co-Chair:Ji Watson、参加者130名)として2018年6⽉15⽇に発⾜した。
WLNでは、LEAN IN TOKYOとコンフィデンスビルディングのプログラムやメンタリングプログラム、第三者イベントでの登壇などを実施しているという。
次に、独自調査の結果概要について、マッキャン プランニングディレクターの松本順氏が発表した。日本では文化的に前時代的な部分が残っていて、世界経済フォーラムのレポートによると、ジェンダーイコーリティの「教育」と「健康」のスコアは高いが、「経済」と「政治」のスコアが著しく低くなっている。そのような中、日本政府は「202030」として2020年までに女性管理職を30%にすることを掲げているが、現在は13%に満たない状況であり、難しいと考えられていると述べた。
そこで、独自調査から判明した4つの真実を発表した。ひとつめは、日本のジェンダーイコーリティの意識は発展途上かつ「分断」状態であること。2つめは、誰もが人や自分自身にジェンダーバイアスを課してしまっていること。3つめは、女性が望む「活躍」はひとつのルートではなく多様化していること。4つめは、若年層によって大きな変革が起こる可能性があることと述べた。
最後に、元カルビー代表取締役会長兼CEOで現RIZAPグループ 取締役の松本晃氏と、カルビー 執行役員 フルグラ事業本部 本部長 藤原かおり氏が登壇したパネルディスカッションを実施。カルビーの「フルグラ」の売上を30億円から300億円までに成長させた際のマーケティング手法や、両氏がダイバーシティについて実施してきたことや考えていることが議論された。
松本晃氏は会社組織としてダイバーシティに早くから取り組んでいるきっかけについて、「2001年、ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人の社長だった時に、グローバルのミーティングで初めて『ダイバーシティ』という言葉をアメリカ人から聞き、『もっと女性を登用しなさい』と言われた。『日本人の半分は女性のはずだ。どうしてそれを使わないのか』と言われて納得し、女性を登用した」と話した。
また、ダイバーシティについて、「簡単なことではない。ダイバーシティは誰かが損をする。女性管理職の割合を増やすと男性管理職を減らさなければならず、管理職の男性が抵抗するのは当然のこと。力のあるトップマネジメントが自ら実施するのが重要であり、マネージャーや社長を女性にしていくことが必要。若い人たちが集まっても変わらないので、若い人たちはマネジメントを動かしていかねばならない」と語った。
真のジェンダーイコール実現に必要なことを問われると、松本氏は「環境と制度」と答え、戦後の第二次産業の時の制度が破綻したまま残っていると問題を述べた。それに対し藤原氏は、結婚、出産、育児、介護などのライフイベントに対応した制度が必要だと話した。さらに、制度だけでなく、そのような多様性を受け入れる文化が企業に根付くことが重要だという。
松本氏は、ジェンダーイコールについて、「私はフェミニストである訳ではない。会社の利益を上げて、社会に貢献することを考えている。男性も女性も同じくらい優秀であるので、同じように登用していく必要がある。それはトップが行っていくべき」と総括した。