モニター企業に選ばれた三井農林の活用法、両社がタッグを組んだプロジェクトから見えた気づき、さらに外食の一次情報のマーケティングへの活用可能性までを聞きました。
トレンドを数値で可視化し、比較提案の説得力につなげる
ぐるなびが提供する外食のビッグデータを活用するサービス「ぐるなびデータライブラリ」のモニター企業となり、活用可能性を検証してきた三井農林。
商品開発や販売、営業面での連動性など通常のブランドマーケティングチームの活動に留まらない、スケールの大きなゴールを思い描きながら、モニターに応募したという同社では、「ぐるなび データライブラリ」から得られるトレンドのシーズや、アンケート調査の持つ説得性を日々の営業活動に生かす中で、「他では得ることができない貴重な外食一次情報データの宝庫」と表現する。
「日東紅茶」や業務用ブランドである「WHITE NOBLE」などを手掛け、幅広い商材を扱う同社では、生活者と外食の間をつなぐ確かなデータとしてトレンドデータを捉えているという。「提案の仕方で相手への響き方が変わってくるのですが、実際に『ぐるなび データライブラリ』のトレンドデータを提案に活用することで、外食産業の方が肌感として持っているトレンドに対し、データを定量化したような提案ができます。相手に響く、時流に合わせた提案ができています」と話すのは三井農林の阿部慎介氏だ。
こうした三井農林の手ごたえを聞き、ぐるなび 高橋俊也氏は「営業活動やエリア戦略に『ぐるなびデータライブラリ』を活用していただいている食品、飲料メーカーさんは多い。営業活動で必要となる雑談においても『いかに自分のためになる情報を持っている人か』が相手との信頼関係に直結するので、当社の持つトレンドデータが話のきっかけとして活用できるという声も少なくありません」と説明する。
自店舗の人気商品など、自社のトレンドは明確に見えているものの、他社のトレンドまでは見えないことの多い外食産業。そのため、「ぐるなびデータライブラリ」の機能の中でも「推移分析」をよく活用すると阿部氏。推移分析の縦軸にある「検索指数」によって、複数の流行り物を比較して検索することができるのだ。
「例えば“しびれ鍋”というキーワードと“タピオカ”などの他の流行りキーワードの検索数の比較を推移分析してみると、しびれ鍋の検索数の動向はタピオカと同じような動き方をしているといったことが把握できます。
肌感では分かりにくかった流行のレベル感が、データとして目に見えるので実感していただきやすい。提案の説得力も増しているように思います」(阿部氏)。
データライブラリの活用で企業に多く期待されるのは、今後のトレンドだという高橋氏。「『ぐるなび データライブラリ』は未来のトレンド予報がひとつの売りコンテンツではあるのですが、本当のポテンシャルは、過去に遡り、時系列でひとつのメニューを追いかけていけることだと考えています。過去3年を振り返り、『当時のこのメニューは、現在どうなっているのか』といういわゆる結果に対する検証まで踏み込めるのは、長期的なひとつの価値であり、可能性だと思っています」。
シーズとニーズの両方から見る商品開発への活用の課題
営業の外食業界に対する提案だけでなく、商品開発にも「ぐるなびデータライブラリ」を活用しようとしている三井農林。同社が持つトレンドのシーズを推移検索やトレンド予報で確認し、その結果を裏付け資料として商品開発の参考にしているという。
ぐるなびでは当初、トレンドのデータがあることで商品開発の簡易化に貢献できるのではという期待もあったというが、企業の活用法から課題点も見えた。
「企業がトレンドのシーズを持つ一方で、飲食店やユーザーにはニーズがある。どちらかのサイドから見るのではなく、データを中央に据え、シーズとニーズの両方から解釈していかなければ、『ぐるなび データライブラリ』の精度は高くならないと気づいたのです。例えばトレンド予報では月間5つのトレンドを出し、解説をつけて紹介しています。しかし、予報の根拠や、急上昇ワードとして得られた結果の背景への解釈はつけていないので、シーズとニーズのバランスをとりながら、サービスの向上を目指します」(高橋氏)。
モニタープロジェクトから広がるリアルな体験から得た気づき
今回のモニタープロジェクトの取り組みでの気づきを生かし、「ぐるなびデータライブラリ」から離れた場でも、取り組みが広がったという両社。そのひとつに、ぐるなびが共催する35歳以下の若手料理人の発掘・応援を目的とした日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」から派生する若手料理人が集まるワークショップ「Professional Workshop」に三井農林がブース出展と商品提供をした。
「なかなか飲食店や外食産業の方と直接お話する機会がなく、現場の声は私たちからすると、とても遠かった。今回の出展を通じ、ニーズを理解している飲食業界の最前線にいる方の声を聞くことが、商品開発に生きてくるという実感を得ることができました」(阿部氏)。
データと各自の仮説を組み合わせて検証できるだけでなく、ぐるなびの持つネットワークを生かし、飲食の現場の声も得ることで、商品開発へのヒントを得たという三井農林。
こうした声や今回の経験を通じ、メーカーとの本質的な商品開発に取り組んでいかなければと高橋氏は話す。
「『ぐるなび データライブラリ』を通じて外食のメニュー開発の流れを汲み取り、我々が学んでいくことで、そのスキルやノウハウを外食産業へのソリューションや、経営支援へ貢献できるのではと期待しています。
外食産業における人手不足の深刻化が懸念される一方、セントラルキッチンの登場やUber Eatsを始め、外食産業のビジネスモデル自体も変革し始めています。これからの外食産業に可能性を感じているので、2030年の外食の姿を見据えて、メーカーとの取り組みを加速していけたらと思います」。
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「ぐるなびデータライブラリ」
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