「動画による社内エンゲージメント向上プロジェクトは、どう進んだのか?(前編)」はこちら
前編では、ツール導入時の担当者の仕事や、導入した後に社内でつくりあげる「あるべき状態」について伺いました。後編では広報担当者だけでなく、マーケティング担当者にも役に立つ体験・ナレッジを、メットライフ生命の北條秀興氏と原田栄美氏にお話頂きました。
前田:ここまでのお話を伺っていると、動画を撮って流すチャネルが複数存在したというのが重要なポイントですね。
ここ数年の企業の動画活用というのは、課題に対してまず動画ありきということが多い。手段としての動画に飛びつくということがあっても、ではその動画を「どこで」「どのようにして」見てもらうのかという設計がたいへん甘く、せっかく数十万から数百万円かけて動画をつくってもYouTubeに置きっぱなしで、見てもらうところまで力を割けていないケースが少なくないようです。
ですので、今あるイントラネット、社内SNS、オフィス内のデジタルサイネージといったチャネル、つまりアセットをフル活用された、という点が他の企業とは異なるのではないかと感じました。フル活用というのも、ただそのチャネルに掲出するだけでなく、社内SNSであれば、どの部署の誰が撮影した動画なのかという情報を細かに入れてあげるといった、より動画が見られる工夫をされていることにも感銘を受けました。この意味で、今あるアセットをフル活用すべきである、というのが中間目的になると感じました。
北條:今あるデジタルチャネルを最大限活用するというのは、情報を発信したい側にとっては露出が増えるのでハッピーな状況になりました。ただ、最初の頃は社内SNSでの案内はしていなかったんです。イントラとデジタルサイネージに動画を掲出していましたが、サイネージで流れている動画を、その前にずっと立って見ているわけにはいかないですよね。
それをより多くの社員に見てもらえるように、社内SNSでも動画のカテゴリーをつくって発信するようにしました。そうすることで「いいね」をつけたり、コメントも残しやすくなったりしたことから、動画が多く見られるようになりました。
原田:オフィス内のサイネージについては、オフィスを歩いていれば色々な場所で情報を見ることができる環境をつくったうえで、今画面で流れている動画の次に、どんな動画が再生されるのかがわかる番組表のようなものをつくって表示することもしました。
また、デジタルサイネージで気になった動画を、あらためて自席からイントラでも見れる環境をつくることで、ちょっとした時間に情報を得ることができる、つまりスキマ時間の有効活用につながっています。また、動画を見るチャネルだけでなく、社内SNSを組み合わせることで、コメントもでき相互通行でのコミュニケーションが可能となり、情報が浸透しやすくなっています。
前田:それはすごいですね! 次にこの動画が流れるというのが見えていれば、気になる情報なら足を止めてくれますね。
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