母校でeSportsの大会を開催
今年2月11日、大阪芸術大学のキャンパスで開催された「ストリートファイターV アーケードエディション」を競技タイトルとしたeSports大会。これは日本で初めて大学とゲームメーカーが共同で開催した格闘ゲームのeSportsの大会だ。
この大会をプロデュースしたのが、大阪芸術大学建築学科卒業後、現在はカプコンで「ストリートファイターV」プロモーションプロデューサーを務める綾野智章さんだ。
イベント当日は急な開催告知にも関わらず、多数の人が会場へ集結。大阪芸術大学の学生だけではなく、日ごろ関西を中心に活躍している格闘ゲーマーたちも参加し、盛り上がりを見せたという。「今回のイベントで手応えを感じたので、今後は本格的なeSportsの大会を、カプコンが実施しているCAPCOM Pro Tourと同じルールで開催したいと思っています」と綾野さん。
本格的なeSports大会が国内外で開催され、メディアで取り上げられる機会も増えて、この1~2年でeSportsに対する認知が広がり、人気が集まっている。そんな中、綾野さんにとって今回「大学で開催した大会」には意味がある。それは今年32年目を迎える「ストリートファイター」のファンの成熟に伴い、若年層の獲得が急務であることだ。またビジネス面ばかり強調されるeSportsだが、今後より盛り上げていくためには「人を育てていかなくてはいけない」という思いもある。
というのも、近年プロゲーマーやゲームを実況するYouTuberの出現により、ゲームファンに変化が生じている。「従来ゲーム会社はゲームのファンになってもらうべくプロモーションに注力してきましたが、最近はゲームの内容以前に、そのゲームをプレイする人にフォーカスが当たるようになってきたんです。プロゲーマーのプレイを見てファンになり、それからゲームを知るという人も少なくありません」。
そんな背景から、「例えば野球であれば、大谷翔平さん」というように憧れの対象を「eSports」のプレイヤーでも作りたいという。「カプコンとしては2018年にeSportsを本格的に推進するようになりましたが、私自身はストリートファイターを通して、それ以前からeSportsに関わりがありました。この市場を広げ、イノベーションを起こしたいという夢があります」と語る。
岡山出身の格闘ゲームが大好きな綾野少年は、もっと強くなりたいという思いで大学進学先を対戦相手が多くいる大阪に定めた。「多様性のある大阪芸術大学の環境に身を置いたことがよかったと思っています。高校時代は毎日ゲームセンターで過ごしていた私ですが、創作活動が主体となる大学生活は自然とクリエイトへとベクトルが向きました」。
今年もeSports市場を活性化させるために、数々のイベントを企画している綾野さん。3月21日には、東京・秋葉原にてファイターリーグカプコン「ストリートファイターリーグpowered by RAGE」の決勝戦であるグランドファイナルを開催する。
綾野智章さん
編集協力 / 大阪芸術大学