世界で年間13億人、ミレニアル世代がグローバルの旅行者増を牽引
最近、ニュースを見ていて興味を引くのが、訪日の外国人観光客が増えているという事実です。2018年の統計で訪日観光客数は年間3,119万人で、6年前の2012年は836万人だったことを考えると、2,000万人以上も増えていることがわかります。
約1億2千万人の日本の人口と比較しても、25%にあたる人たちが、すでに日本を訪れているのです。日本の人口は2008年ごろをピークに、ここ数年は年間30万人、40万人と減少しつつあり、2050年には1億人を割るという見通しも出ている中、政府は2030年には訪日観光客6,000万人を目指していると言います。
これは現在、世界第4位の外国人観光客数を誇る中国の6,074万人レベル(2017年の数字)に匹敵する数字です。ちなみに世界1位はフランスの8,692万人で、日本は12位(2017年の統計)。ただ、外国人観光客の増加の伸び率が2桁成長を記録している日本は、世界的に見てもトップクラスの成長を誇っています。
世界全体で観光客の数は年間で約13億人と、1990年から約10億人も増えており、この傾向は今後も継続すると見られます。海外に積極的に旅行に行くのは世界的に共通のトレンドで、それを牽引しているのは間違いなくミレニアル世代をはじめとする若い世代です。
なぜ私が、このような数字に注目しているのか。それは、このような傾向がグローバルにおける政治的な緊張と、逆行しているように見えるからです。
米中露などにおける国家間の国際的な緊張は続いていますし、世界第1位の観光客を誇るフランスでは、パリ市内でテロ事件やマクロン政権への抗議デモが起きています。それにも関わらず、一般の海外旅行者は増えているのです。そしてその多くが中国(出国者数世界ランク1位で約1億4千万人)などの新興富裕層が牽引しており、ビジネス的に言えばこれがラグジュアリー市場などのグローバルブランドの市場を拡大しつつあります。
ただ、着目したいのはミレニアル世代のグローバル旅行者の増加。これは日本で報道されてきたような、インバウンド消費といった潮流に留まらない大きな変化をもたらす可能性があると私は考えています。