県政をデジタルで変える! 新設・愛媛県庁プロモーション戦略室の挑戦

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【対談者】
愛媛県 企画振興部 政策企画局 総合政策課 プロモーション戦略室

室長 池田貴子氏
主幹 廣井久典氏
デジタルマーケティンググループ 担当係長 森俊人氏
デジタルマーケティンググループ 主任 久保佳宏氏

日本オラクル
クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部 ビジネス企画・推進部 CX CLOUD マネジャー 中里美奈子氏
クラウドプラットフォーム戦略統括 Digital Transformation推進室 マネージャー(新事業企画担当) 七尾健太郎氏

2018年4月、愛媛県庁内にデジタルマーケティング推進を使命に業務を行うプロモーション戦略室が設置された。その役割を鮮明に印象づけたのは、2018年12月に公開したインバウンド向けの観光誘致を目指した動画だ。事業はまだスタートしたばかりだが、より効果的な施策を実施していくために期待されているのが、日本オラクルのソリューションによるサポートだ。

地元企業や個人生産者を、県がデジタル活用で支援したい

中里:プロモーション戦略室の立ち上げの経緯や目的を教えていただけますか。

池田:プロモーション戦略室は県の総合政策課内に設置された、県庁全体のプロモーションを横串で担当するための部署になります。室には2つのグループがあります。ひとつは県の魅力を伝えるための統一的なコンセプトをつくり、PRするプロモーショングループ。もうひとつがデジタルマーケティンググループです。その目的は、いずれも県の認知度を高め、魅力を発信することにあります。

立ち上げのきっかけは、2018年の初めに知事自らがIT関連企業との情報交換をするなかで、県政にもデジタル技術を導入、活用したいと考えたことにあります。私たちが目指しているのは、デジタルマーケティングを県全体の業務に活用し、最終的には県経済の活性化や実需を生み出すことです。

愛媛県 企画振興部 政策企画局 総合政策課 プロモーション戦略室 デジタルマーケティンググループ 担当係長 森俊人氏

森:愛媛県はみかんを中心とする柑橘類や、ブランド魚「伊予の媛貴海」など農林水産物に恵まれています。今治タオルや砥部焼といった工業製品や伝統工芸品も含め、これらを「すご味」「すごモノ」として紹介しています。観光面では「しまなみ海道サイクリングロード」など自転車をコンテンツとして観光客誘致をしています。

こうした本県の魅力を訴求する様々なマーケティング施策にデジタルを効果的に活用することで、さらなる実需を生み出せるのではないかと考えています。とは言え、いきなり全ての分野に導入することはできませんし、行政としてもデジタルマーケティングの実績がないままでは手をつけることが難しいものです。そこで、まずは見込みの高い分野に取り組むところから始めました。

愛媛県には上海、ソウルからの定期便が就航する松山空港があります。今年の7月には新たに台湾との定期便も就航予定です。そのため、県としても以前からインバウンド向け施策には注力してきました。また、今年大阪を中心に開催されるG20 OSAKA SUMMIT 2019では、松山でも会議が行われることになっています。

こうした国外から来訪してもらえる機会を生かしながら、より多くの方に愛媛県のことを知ってもらい、さらには訪問機会を増やすことを目的としてインバウンドプロモーションを、デジタルマーケティングを活用する最初の対象に選びました。9月の補正予算でインバウンド促進事業への予算が認められ、正式に事業を進めることになり、12月のプロモーション動画公開にいたりました。

増える外国人観光客、インバウンドプロモーションが課題に

廣井:近年、訪日観光客は地方へ足を伸ばすようになってきています。一方で、県としてはデジタルに限らず、情報発信がうまくできていないのではないかという課題を持ち続けていました。そこで、デジタルを活用して情報発信を最適化していくにあたり、まず初めに取り組むべき分野としてインバウンドプロモーションが最も適していると考えたわけです。

池田:私たち日本人だとある程度愛媛県がどこにあるのか知っていますが、訪日観光客は東京や大阪といった都市の名前は知っていても、その位置関係まで知っている方は多くないはずですし、そうした方々に先入観なく「愛媛」を認知さえしてもらえれば、来てもらうことができるのではないかと考えました。

中里:そうした取り組みを進めるなかで、私たちのソリューションであるソーシャルリスニングや分析、エンゲージメントを行う「Oracle Social Cloud」とサイト訪問者の属性やクッキーを瞬時に把握して一番コンバージョン率が高いコンテンツを出す「Oracle Maxymiser」をお使いいただいています。導入のきっかけは何だったのでしょう。

池田:今回、インバウンドプロモーションを実施するにあたって、動画コンテンツの制作などで協力していただく企業をコンペにより決定しました。そこで採用させていただいたXPJPさまの企画に、オラクルさんのツールを使った効果検証やデータ分析も含まれていたことがきっかけのひとつです。

廣井:と言うのも、これまでポスターや動画コンテンツを制作すると、そこで完結してしまっていました。デジタルマーケティングの利点のひとつは、データを蓄積し、分析することで次の施策へつなげられること。この視点が私たちに欠けているのではないかという課題意識もありました。

XPJPさまの提案のなかにはオラクルさんのソリューションを使ってソーシャルの反応を見るような機能も含まれていたのですが、こういった次の施策へと生かせる機能が私たちの求めていたところにも近く、採用のポイントになりました。

次ページ 「データを蓄積し、分析することで次の施策につなげたい」へ続く

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