Marketoの統合でB2BもB2Cも内包したB2E(Everyone)への対応を目指す
キーノートセッション内で、企業内のワークフローをデジタル化し、業務改善を実現するソリューションであるServiceNowとの提携が発表になったが、組織内のワークフローも変えなければカスタマーエクスペリエンスマネジメントの実現は難しいとの考えが背後にあるようだ。
今回のサミットのキーノートには、今年3月頭に統合は完了した、元マルケトCEOのSteve Lucas氏(Adobe SVP, Digital Experience)も登壇。
Steve Lucas氏は「MarketoはBtoBに強いマーケティングソリューションとして支持されてきたので、『Adobe Marketing Cloud』と融合することで、これからBtoCだけでなくBtoBの顧客にも、さらにエンタープライズだけでなく、ミッドクラスの企業に対しても、幅広くサービスを提供していくことができるようになると考えている」と話した。
B2Cのマーケティングでは大量のデータを分析しなければいけないし、B2Bのマーケティングでは相対する巨大かつ複雑なバイヤーのチームの意思を知らなければいけない。それぞれに特徴がある。
しかし昨今の企業のビジネスモデルはB2BとB2Cに明確に分けることができるものではなくなっている。キーノートで例として挙がったのがブッキングドットコムだ。ブッキングドットコムは一人ひとりのカスタマーに向き合うB2Cの企業でありながら、ホテルなどの法人とも向き合っている。このような背景からMarketoの統合で「B2Bでも、B2Cでもなく、B2E(Everyone)」のエクスペリエンスマネジメントの実現を目指していくとの考えが示された。
さらにB2Bにおいては「Account-Based Experience(ABX)」の実現を目指したいとの考えを提示。Adobeでは2018年9月にSAP、Microsoftと「Open Data Initiative」の立ち上げを発表している。この取り組みを通じ、互いにオープンで拡張可能となる、共通のデータモデルの定義が進められていた。両社のパートナーシップはより進展し、キーノートではMicrosoftの傘下にあるLinkedInにMarketoのデータを取り込んで活用できるようになるとの発表もあった。こうした機能も用いながら、「Account-Based Experience(ABX)」の実現を目指していきたいという。
「Adobe Summit」」は、世界45カ国以上の国々からからAdobeユーザーのマーケターなど約1万7000名が参加。3日にわたり、322のセッションが開催される。今年は日本からだけで200名を超える参加があった。28日までラスベガスで開催される。