Adobe、MicrosoftのCEOが登壇、シームレスなデータ連携を目指す — Adobe Summit2019

米国ラスベガスにて2019年3月26日~28日(現地時間)の期間、開催されている「Adobe Summit2019」。マーケティング、デジタルエクスペリエンスをテーマに世界中からマーケターやデジタル担当が集まる本イベントを現地からレポートする。

「カスタマーゼロ」の考えで、自らのマーケティング活動をデジタルシフト

「Adobe Summit2019」の2日目もキーノートからスタートした。登壇したのは、Adobe のCMOであるAnn Lewnes氏だ。

「Adobeには『カスタマーゼロ』という考えが根付いている。自社のソリューションの最初のカスタマーとなり、自らもマーケティングのデジタルシフトを実現し、さらに企業のトランスフォーメーションを実践してきた」と、CMOとしてカスタマーエクスペリエンスを基点とした全社横断の変革の取り組みを語った。

さらに「昨日のキーノートではDDOM(Data Driven Operation Model)の概念が紹介されたが、Discoverに始まりTry、Buy、Use、さらにRenewに至るまでのカスタマージャーニーのすべてのフェーズにおいて、マーケティングが関わる。そして、各フェーズにおいてデータをもとに意思決定をしている」と話し、データを中核にしながら組織横断のトランスフォーメーションを実現させたプロセスを紹介した。

Adobe CMOのAnn Lewnes氏。

Adobe、Microsoft、SAPの「Open Data Initiative」、構想から実現に向かう

次に登壇したのは、Adobe CEOのShantanu Narayen氏と Microsoft CEOのStaya Nadella氏だ。

写真右から、Adobe CEOのShantanu Narayen 氏、 Microsoft CEOの Staya Nadella氏。

2018年9月にAdobe、Microsoft、そしてSAPの3社は「Open Data Initiative(以下、ODI)」のビジョンを発表。「ODI」は各企業が提供するプラットフォーム別に、分断してしまっているデータがシームレスにつながる環境を実現し、よりカスタマーのプロファイル構築を精緻に行えるようにすることを目的としている。

具体的には共通のデータモデルを構築し、さらに3社のユーザー企業が選択した、データレイク内に保存されるデータを介し、各社が提供するアプリケーション間の相互運用をしやすくする取り組みを進めてきた。対象となるのは3社が提供する「Adobe Experience Cloud」、「Microsoft Dynamics 365」、「Office 365」、「SAP C/4HANA」だ。

キーノート後、日本のメディア向けにMicrosoft担当のAdobeの役員らへのインタビューの時間も設けられた。そこでは「パーソナライズした体験を提供しようと考える時、それが実現できないのはマーケティングの問題ではなく、データに問題がある場合が多い。『ODI』により、この課題が解決できる」といった説明や「2019年末にはODIが実装された形で、各社のソリューションを提供できるようになる」といった説明があった。

キーノートではMicrosoft CEOのStaya Nadella氏も登壇し、「ODI」のビジョンについて話された。また途中、2社共通の導入企業であり、このビジョンに賛同を表明しているユニリーバでの活用のケースも紹介された。

ちなみに3社は、3社以外の企業からも「ODI」への参画を促しており、「Partner Advisory Council」を発足することも発表になっている。「Partner Advisory Council」にはAccenture、Amadeus、Capgemini、Change Healthcare、Cognizant、EY、Finastra、Genesys、Hootsuite、InMobi、Sprinklr、WPPなどが参加をするという。

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