AdobeによるMarketo買収後、初めて開催のSummit
「Adobe Summit2019」3日目は、Adobeによる買収、統合が完了したMarketoの元CEOで、AdobeのSVP, Digital ExperienceのSteve Lucas氏によるキーノートスピーチから始まった。
Steve Lucas氏は「エクスペリエンスで世界を変えるというAdobeの考えに共感をした。B2Bの世界においても、この概念を実現していきたい」と統合の決断に至った背景を説明。
さらに「エクスペリエンスは差別化の根源となるもの。マーケティングに必要なのはエクスペリエンスをつくり、売ることであり、カスタマーがそのエクスペリエンスをもっと欲しいと思ってもらえるような環境をつくることと言える。数年前まではUberもAirbnbも存在しなかった。これらのサービスが登場する前は、知らない人の車に乗ること、知らない人の家で寝ることなど考えられなかったはずだ。テクノロジーを活用した魅力的なエクスペリエンスがあって、これらのサービスに価値が生み出されている。B2Bの領域にも同様に素晴らしいエクスペリエンスが必要とされている」と話した。
チャットボットを用いたワントゥワンの会話型マーケティング
キーノートでは今回から「Marketo Engage」に名称が変更されたMarketoのソリューションについて、新たに強化された機能も発表になった。ひとつがDriftとの提携による、会話型マーケティング機能だ。
会話型マーケティングのプラットフォームであるDriftと「Marketo Engage」が連携。「Marketo Engage」のユーザーは、アカウントリストをDriftと連携させることで、チャットボットなどを介して、パーソナル化した会話を、スケールをもって実現できるようになる。
その他、キーノートで発表になった「Marketo ENGAGE」の強化された機能は以下の通り。
ペイドメディアを使った広告配信における精度の向上
既知の顧客とのコミュニケーションだけでなく、新規・未知の顧客にアプローチしホワイトスペースを見つけていくためのキャンペーンの実施に際してもDEMANDBASE、LiveRamp、Adobe Ad Cloudとの連携で、ペイドメディア活用の幅が広がった。
Summitの初日にはLinkedInとの連携も発表になっている。今後、LinkedInのデータを活用することで、コンタクトのなかったアカウントについても適切なキーパーソンを見つけ出し、さらにそのプロファイリングに基づき、パーソナライズした広告を配信することが可能になるという。
「Adobe Creative Cloud」を使ったクリエイティブ制作
「Marketo Engage」「Adobe Marketing Cloud」さらに「Adobe Creative Cloud」が連携することによって、「Marketo Engage」ユーザーは、「Marketo Engage」内でコンテンツを直接、編集することができるようになった。これにより、パーソナライズしたクリエイティブを、より手軽に制作できるようになる。
「Adobe Sensei」がB2Bマーケターの仕事をアシスト
「Marketo Engage」でも、Adobeが開発したAIの「Adobe Sensei」が活用できるようになる。キーノートではイベント集客に際してのターゲットリストの作成で、「Adobe Sensei」を活用するデモが行われた。来場目標数に合わせ、来場の見込が高い顧客を「Adobe Sensei」を使って予測をし、マーケターの仕事をアシストする様子が紹介された。
Steve Lucas氏はMarketoのAccount-Based Marketingの機能が「Adobe Experience Cloud」に統合されることで、これまでのAccount-Based Marketingは「Account-Based Experience」へと移行していく。その実現を目指していきたいと話した。