常に“現場ファースト”の組織であることを追求
エルロイでは常に”現場”が会社の中心にある。映像制作現場のあらゆる「負担」や「困難」を自社の経営課題と捉え、そこに最優先で取り組むことで、常に最適な制作環境を実現してきた。「これまでさまざまな映像制作の現場で感じてきた矛盾や不合理を1つひとつ解消することで、現場がモチベーション高く作り続けられる制作環境づくりに注力してきました。例えばスタッフの働きすぎを抑制するために、社員全員の稼働状況がリアルタイムで把握できる制作管理システムを開発したのもその1つです。
これによって労務・顧客・売上を連動させて複合的に管理できるようになりました。
また、所有する機材は毎年一定額の設備投資をすることで常に最新のものに保っています。それらのすべてが映像クオリティの向上につながっていくと考えています」。
ほかにも、座学とOJTを組み合わせた独自の社員育成プログラム「ellroyアカデミー」や、映画鑑賞代や参考書籍代を経費で落とせる「ellroyアシスト」、そして定期的な社員面談によって現場の課題発見・改善のサイクルも実現している。人と業界の変化に合わせて各種の施策を導入することで、現場の社員が「成果物のクオリティ向上」と「自己能力開発」に注力できるようにした。
こうした仕組みを、前線となる現場を管理職や経営陣が支援する「逆ピラミッド組織」体制と和田さんは呼ぶ。
「映像制作の楽しさを、制作スタッフ全員が感じながら仕事ができるようにしたいんです。特にプロダクションマネージャー(PM)は、僕自身がPM出身ということもあり、クリエイティブを左右する重要な役割なのに軽視されがちなのが問題だと感じてきました。PMは連絡や調整に追われてスキルがドーナツ化し、映像の本当に楽しい部分だけを体験していない。
それゆえに人が辞めていく悪循環を断ち切りたくて、エルロイでは待遇を向上し、制作の現場にも積極的に関わり、意見を出してもらうようにしています。ほかの職種も同じことで、職能は縦割りで切り分けられないと思っているので、1人1人が複数の役割を担いながら、担当領域を広げられるようにしています」。スタークリエイターがその個人名で支えるような組織ではなく、こうした仕組みによって、会社として質の高い映像サービスを提供することを重視している。
映像制作現場に革新をもたらす存在でいたい
「プロダクション2.0」とも言えるこうした独自の制作スタイルを7年で築き上げてきたエルロイ。今後はどう進化していくのだろうか。「(2018年)年末のレコード大賞で、MISIAが『夢は歌い続けること』だと話していました。まさにそれで、エルロイの場合は『作り続けること』だと思っています」と和田さんは話す。続けて、「2025年以降は、組織の時代が来ると思う」とも言う。
「個が立ったプレイヤーが独立して活躍するスタイルがここ2年くらい目立ちますが、フリーには限界があると僕は思っています。自分の引き出しだけでは広がりがなくなり、やはり組織で人と仕事をしたいと考えるようになるからです。その時に、エルロイはいち早く、2020年代、2030年代にフィットする組織を確立していたい。それがブロックチェーン的な自立分散型の組織なのか、それともあえて封建的思想の組織を保ちながらアップデートしていく方がいいのか、まさに模索している最中です。
来たるべき次の時代に最適な組織のあり方を探り業界に先駆けて実現していくことで、映像制作現場に革新をもたらす存在であり続けたいと思っています」。
和田篤司(わだ・あつし)
1980年岡山県生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業後、TYOにて制作として多くのテレビCMを担当。その後サイバーエージェントにて映像制作グループの立ち上げに関わる。それを機に映像演出を開始し、映画「アバター」(橋本愛主演)などの劇場用映画、Vシネマ、オリジナルビデオ、CM、VPなどを多数監督。さまざまなジャンルの映像を作る中で感じた矛盾、不合理を解消し、常にクオリティという本質に迫るべく2012年にエルロイを立ち上げ。組織を組み立てていく中で新しい映像の作り方について日々追求中。
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